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アバウト・ア・ボーイ About a Boy (2002)

1998年に発表された、ニック・ホーンビィの小説”About a Boy”を基に製作された作品。
父の遺した印税で気ままな生活を送る独身男性と情緒不安定な母親と暮らす孤独な少年の親交を描く、監督、脚本クリス・ワイツヒュー・グラントニコラス・ホルトトニ・コレットレイチェル・ワイズ他共演のヒューマン・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■
監督
クリス・ワイツ

ポール・ワイツ
製作総指揮
リン・ハリス

ニック・ホーンビィ
製作
ジェーン・ローゼンタール

ロバート・デ・ニーロ
ブラッド・エプスタイン
ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
原作:ニック・ホーンビィAbout a Boy
脚本
ピーター・ヘッジズ

クリス・ワイツ
ポール・ワイツ
撮影:レミ・アデファラシン
編集:ニック・ムーア
音楽:バッドリー・ドローン・ボーイ

出演
ウィル・フリーマン:ヒュー・グラント

マーカス・ブリューワー:ニコラス・ホルト
フィオナ・ブリューワー:トニ・コレット
レイチェル:レイチェル・ワイズ
エリー:ナット・ガスティアン・テナ
クリスティン:シャロン・スモール
スージー:ヴィクトリア・スマーフィット
アンジー:イザベル・ブルック
アリステア”アリ”:アウグストゥス・プリュー

イギリス/アメリカ/フランス映画
配給 レミ・アデファラシン

2002年製作 101分
公開
イギリス:2002年4月26日
北米:2002年5月17日
フランス:2002年11月12日
日本:2002年9月14日
製作費 $30,000,000
北米興行収入 $41,385,280
世界 $130,549,460


アカデミー賞 ■
第75回アカデミー賞

・ノミネート
脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ロンドン
38歳で独身のウィル・フリーマン(ヒュー・グラント)は、亡き父親が作曲したクリスマス・ソングの印税収入により、定職も持たず気ままに暮らしていた。

周囲は、家族を持とうともしないウィルの将来などを心配するが、彼は現状を変える気もなかった。

妹クリスティン(シャロン・スモール)に、そのことを意見されたウィルは、彼女の娘の名付け親になることも断ってしまう。

12歳のマーカス・ブリューワー(ニコラス・ホルト)は、友人もいない孤独な少年で、自分を溺愛するが、情緒不安定で風変わりな母フィオナ(ニコラス・ホルト)の言動を気にする毎日を送っていた。
...全てを見る(結末あり)

クリスティンの同僚アンジー(イザベル・ブルック)と会うことになったウィルは、彼女に3歳の息子がいることを知る。

子供好きを装ったウィルは、夫と揉めて離婚したシングルマザーが気に入り、アンジーと付き合い始める。

しかし、子供に振り回されるアンジーに不満を抱き始め、ウィルは彼女と別れようとする。

意外にもアンジーから別れ話を切り出され、女性に謝罪されたことに快感を感じたウィルは、別のシングルマザーを探そうと考え始める。

母フィオナが不安定になっていくことと共に、マーカスはさらに孤立する。

ある日ウィルは、シングルマザーを探していた時”SPAT/シングル・ペアレントの集う会”というチラシを目にする。

期待しながらそれに参加したウィルは、想像したような女性がいないその場で、2歳の男の子の父親を演ずる。

参加者のスージー(ヴィクトリア・スマーフィット)とデートすることになったウィルは、彼女と”リージェンツ・パーク”に行く約束をする。

スージーには、自分の子供は預けたということにして出かけようとしたウィルは、SPATの友人の子だと言ってマーカスも同行することを知らされる。

それを迷惑に思いながら公園に着き散歩を始めたウィルは、スージーに職業を聞かれて、正直に、父親の印税で生活していることを伝える。

マーカスは、フィオナの作ってくれたパンを池に投げ入れてカモを殺してしまうが、ウィルが、うまくその場をやり過ごしてくれたことを嬉しく思う。

その後ウィルは、マーカスを家に送るのだが、フィオナが自殺を図り意識を失っていることに気づき、スージーと共に彼女を救急車で病院に運ぶ。

一晩病院で過ごしたフィオナは翌日帰宅し、マーカスに迎えられるものの、残してあった遺書のことなどで彼に謝罪する。

二人だけでは不安だと思い、マーカスは、誰かの手を借りる必要があると考え、ウィルを食事に誘う。

それを断ろうとしたウィルだったが、気が変わった彼は、フィオナも同行することを知り支払いも頼まれてしまう。

ウィルは、マーカスがフィオナと自分をデートさせるつもりだと察したため、奇妙な恰好をしている彼女との食事は簡単に切り上げる。

その後、二人の家で、歌い始める奇妙な親子の関係にも深入りする気もなかったウィルだったが、マーカスに翌日から行動を観察される。

何んとなくそれに気づいていたウィルは、ある日、訪ねて来たマーカスに、子供はいないと言われそれを否定する。

自信を見せるマーカスは、フィオナと付き合いたいなら、子供のことは黙っていると言い、ウィルに、母親を元気にさせるための協力を求める。

その場は追い払ったウィルだったが、毎日現れるマーカスと仕方なく付き合う。

マーカスがいじめられていることを知ったウィルは、彼のためにスニーカーを買い与え、彼を救ってあげた気分になり満足する。

しかし、帰宅したマーカスが、ウィルにスニーカーを買ってもらったことを知ったフィオナは、それを気にする。

ウィルはクリスティンと食事をして、再び将来のことで説教をされていたのだが、そこに、マーカスを連れたフィオナが現れる。

フィオナは、12歳の子供をなぜ家に招き入れたのかと言って、周囲も気にせず、ウィルにそれを問い詰める。

おかしな言いがかりをつけられたウィルは憤慨して、学校でいじめられていたために、マーカスが自分のところに来ることをフィオナに伝える。

納得しないフィオナに、これきりだと言って、せいせいすると伝えるウィルだったが、彼女は、マーカスを見捨てるのかと言い返す。

自分勝手だと言うフィオナにクリスティンも同調して、孤独を好むと言い張るウィルは責められてしまい、マーカスにはクリスマスに誘われる。

当然、それを一人で過ごそうとしていたウィルだったが、仕方なくフィオナとマーカスの家に向かい、彼の父親と恋人、そして、その母親と過ごす。

プレゼント交換もした後、現れたスージーは、子持ちの独身だと嘘をついていたウィルに嫌味を言う。

居心地が悪くなったウィルは帰ろうとするが、マーカスが友達だと言って彼を引き止める。

席に戻り食事をしたウィルは、意外にもその場の雰囲気を楽しみ、その場の雰囲気に温もりを感じる。

その後ウィルは、シングルマザーのレイチェル(レイチェル・ワイズ)と出会い、12歳の息子マーカスがいると言って、子供同士を会わせることになり、デートの約束をする。

ウィルは、レイチェルを恋人にしたいたことをマーカスに伝え、息子になってくれと頼む。

マーカスも、エリー(ナット・ガスティアン・テナ)という子と一緒にいたい気持ちを伝え、ウィルを理解して、それを承知する。

レイチェルの家に向かった二人は、マーカスが彼女の息子アリステア”アリ”(アウグストゥス・プリュー)を紹介される。

マーカスと同じ学年だったアリは、レイチェルが誰とも付き合わないと警告して彼を脅す。

ウィルは、レイチェルの全てが気に入り、彼女が何をしても愛しく思う。

その場から逃げ出したマーカスだったが、ウィルが連れ戻し、アリは彼に謝罪する。

エリーと親しくなったマーカスを心配するウィルだったが、自分が、レイチェルに嘘をついていることを心配されて、真実を伝えるよう忠告される。

マーカスが実の子ではなく、同居もしていないとレイチェルに話したウィルは、自分の人生の空虚さに気付き謝罪して、彼女の元から去る。

学校では、エリーや他の生徒とも打ち解けてきたマーカスだったが、フィオナの様子は変わらず、彼は心を痛める。

”キッズ・ロック大会”があることを知ったマーカスは、それに出場すればフィオナが喜ぶと考え、エリーに協力を求めるが断られる。

落ち込んでいたウィルは、マーカスにフィオナと話してほしいと頼まれるが、彼はそんな気にはなれなかった。

マーカスは、何もせずにブラブラしているだけのウィルを批判してその場を去る。

ロック大会にエントリーしたマーカスは、フィオナにそれを知らせるが、期待していたほどの反応はなかった。

虚しさが募るだけの日々を過ごすウィルは、マーカスが恋しくなり、彼のためにフィオナの力になる気になる。

SPATの集会に参加していたフィオナに会ったウィルは、その場で、子供のことなどは嘘で女性目的だったと告白してしまう。

フィオナが、自殺をする”予定”がないことを確認したウィルはとりあえず安心するが、マーカスが人前で歌うと知り、恥をかく前にそれを阻止しようとする。

マーカスが”Killing Me Softly with His Song“を歌ったら、身の破滅だとまで言うウィルは、 会場でレイチェルに出くわす。

ステージに上がるマーカスは紹介されるが、直前に伴奏をするはずの友人がそれを断ってしまう。

そこにウィルが現れ、マーカスに歌うのを止めさせようとするが、彼はステージに上がってしまう。

母親に捧げると言うマーカスは歌い始めるが、生徒達に冷やかされる。

ところが、ギターで伴奏して現れたウィルに勇気づけられたマーカスは、二人でデュエットを始める。

尚も冷やかす生徒をエリーが殴り、マーカスは歌い終わり拍手されるが、ウィルは歌い続けてやじられる。

フィオナはマーカスに感謝して、二人は親子の絆を確かめる。

その後ウィルは、レイチェルと付き合い始めて、翌年のクリスマスは、マーカスやフィオナ、アリとエリーらと共に楽しい時を過ごす。

そしてウィルは、人間は、恋人だけでなく、仲間が必要だということをマーカスに伝えようとする。

既に二人には、恋人や仲間や友人がいるのだった。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
38歳の独身男性ウィル・フリーマンは、亡き父親の作曲したクリスマス・ソングの印税で、定職も持たないまま、気ままな暮らしをしていた。
その後ウィルは、妹のクリスティンの紹介で、シングルマザーのアンジーとデートして付き合い始める。
子供に振り回されるアンジーと別れるものの、シングルマザーとの付き合いに快感も感じたウィルは、同じ境遇の女性を探し始める。
シングル・ペアレントの集う会で、スージーと出会ったウィルは、彼女とのデートに、情緒不安定な母親フィオナを案ずる孤独な少年マーカスが同行することになり迷惑に思う。
ところが、フィオナが自殺を図り、ウィルらのお陰で彼女は一命を取り留める。
12歳の自分だけでは、フィオナの今後が不安だと考えたマーカスは、ウィルに協力を求めるのだが・・・。
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人間的にも精神的にも頼りない者達の集う物語なのだが、ちょっとしたことがきっかけで、自分らしさや人生の意味を発見していくという展開がほのぼのと描かれ、不思議な心地よさを味わえるハートフルなドラマに仕上がっている。

クリスポール・ワイツ兄弟の脚本による、どことなく陰気なムードが漂う内容なのだが、庶民派感覚の小気味よい快作と言っていい味わい深い作品。

第75回アカデミー賞では、脚色賞にノミネートされた。

北米興行収入は約4100万ドルに留まるが、全世界では約1億3100万ドルのヒットとなった。

悪人ではないがかなり無責任な男性、彼らしいキャラクターはイメージに合うヒュー・グラントの熱演、その主人公が、最も敬遠するタイプの年頃の少年ニコラス・ホルトに、自然に情が移っていく姿が実に微笑ましい。

ヒュー・グラントと対等に演じ好演する孤独な少年ニコラス・ホルト、情緒不安定なその母親役トニ・コレット、主人公が心を寄せるシングルマザーのレイチェル・ワイズ、その息子アウグストゥス・プリュー、マーカス(N・ホルト)と親交を深める少女ナット・ガスティアン・テナ、主人公の妹シャロン・スモール、シングルマザー、ヴィクトリア・スマーフィットとイザベル・ブルックなどが共演している。


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