1941年に発表された、アーネスト・ヘイコックスの小説”Trail Town”を基に製作された作品。 町民とカウボーイそして入植者の悪化する関係改善のため立ち上がる連邦保安官の戦いを描く、監督エドウィン・L・マリン、主演ランドルフ・スコット、アン・ドヴォラック、エドガー・ブキャナン、ロンダ・フレミング、ロイド・ブリッジス他共演の西部劇。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:エドウィン・L・マリン
製作:ジュールス・レヴィ
原作:アーネスト・ヘイコックス”Trail Town”
脚本:ハロルド・シューメイト
撮影:アーチー・スタウト
編集:リチャード・V・ハーマンス
音楽
ジェラルド・ガルボナラ
アルバート・グラッサー
チャールズ・コッフ
ジェームズ・メイフィールド
マックス・ター
出演
ダン・ミッチェル:ランドルフ・スコット
リタ:アン・ドヴォラック
ブラボー・トリンブル:エドガー・ブキャナン
シェリー・ボルダー:ロンダ・フレミング
ヘンリー・ディーザー:ロイド・ブリッジス
ビッグ・アニー:ヘレン・ボイス
エド・ボルダー:ハワード・フリーマン
チャーリー・フェア:リチャードヘイル
ライカー:ディック・カーティス
ジェット・ヤンガー:ジャック・ランバート
ギャンブラー:ポール・ブリンガー
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1946年製作 89分
公開
北米:1946年1月11日
日本:1952年12月18日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1870年、カンザス州、アビリーン。
テキサスから牛を運ぶ1000キロの道の終点であるこの地は、仕事を終えたカウボーイ達が集まる場所でもあった。
連邦保安官のダン・ミッチェル(ランドルフ・スコット)は、日曜の礼拝中に銃声に気づき、酒場”プライド”に向かう。
歌手のリタ(アン・ドヴォラック)は、自分のショーの最中に乱射する客の銃を奪い殴ろうとする。
そこに現れたミッチェルはその銃を奪い、銃は店に預けるというルールを確認させる。
ミッチェルは、下手な歌だが邪魔をするなと、乱射していた男に伝える。
憤慨したリタは、ミッチェルの脚を蹴り歌い続ける。 ミッチェルは、酒場の経営者チャーリー・フェア(リチャードヘイル)からリタが目的かと言われてからかわれたため、彼を殴り牽制してその場を去る。 牧童頭のライカー(ディック・カーティス)に、町の商人エド・ボルダー(ハワード・フリーマン)の手伝いをすることを勧められたミッチェルは、その後、再び酒場で銃声がしたためにその場に向かう。 酒場では、ライカーの部下が射殺され騒ぎになっていた。 ライカーが仕返しする言って険悪なムードになったため、ミッチェルは彼を殴る。 2か月後に戻って来た際に町を破壊すると言う、ライカーの脅しに動じないミッチェルはその場を去る。 ライカーは、部下の一人を残して町を去る。 カウボーイとは友好関係を保ちたいエドは、現れたミッチェルに意見する。 しかし、エドの娘シェリー(ロンダ・フレミング)は、町の治安を守るために、保安官を任せたのは父だと言って、惹かれているミッチェルを擁護する。 エドは、ライカーに謝罪するべきだとまで言って商売を優先する。 それならば、他の保安官を探すべきだとミッチェルに言われたエドは、言葉を返せない。 シェリーに辞職するべきだと言われたミッチェルはそれを拒み、エドに戦いの覚悟をさせる考えを伝えるが、彼女は無理だと答える。 ミッチェルは、その場に現れた郡保安官のブラボー・トリンブル(エドガー・ブキャナン)から、事を荒立てすぎると意見される。 到着した列車の車掌から、列車強盗があったことを知らされたブラボーは、やる気のない対応をする。 無能だが憎めないブラボーの仕事ぶりを見ていたミッチェルは、郡の管轄には手を出さないことをシェリーに伝える。 入植者にキャンプの場所を尋ねられたミッチェルは、自分も見てみたいと言って彼らを案内する。 キャンプに着いたミッチェルは、入植者の若いリーダー、ヘンリー・ディーザー(ロイド・ブリッジス)と話し、定住するのは無理だろうと助言する。 この地を耕して小麦などを収穫する自信を語るヘンリーは、町の人々とは親しくしたいが、それを望まないなら構わないと言い切る。 ミッチェルは、ヘンリーらの考えを聞き、一応納得してその場を去る。 チャーリーは入植者の存在を警戒し始め、商人と組めば自分の酒場の商売に影響すると考える。 悪党のジェット・ヤンガー(ジャック・ランバート)は、チャーリーの考えを知り、入植者を痛めつけようとする。 その夜ミッチェルは、自分に発砲した男を追い酒場の舞台裏に向かう。 銃声が鳴り響きリタのショーは中断され、ミッチェルが男を倒して担いで現れる。 ミッチェルは、男がライカーの部下だということをチャーリーから知らされる。 リタは、自分のショーを度々中断させるミッチェルに噛みつき、再び足を蹴る。 ホテルに向かったリタは現れたミッチェルに、酒場とカウボーイのことに干渉し過ぎだと言って批判しながら、彼やブラボーそしてビッグ・アニー(ヘレン・ボイス)らとカードを始める。 その頃、ジェットらが入植者の家やキャンプに火を放ち男達を殺す。 ヘンリーら入植者はブラボーに犯行を訴え、犯人がジェットだということが分かる。 エドの店に向い弾丸を購入したミッチェルは、焼き討ちの犯人がジェットだということをシェリーに伝える。 町とは無関係な事件だとシェリーに指摘されたミッチェルは、この場に犯人がいる限り、それを解決する義務があることを伝える。 シェリーは、自分が止めても任務を遂行するとミッチェルに言われる。 ジェットと組んでいるチャーリーの元に向かったミッチェルは、保安官辞職をほのめかし、彼に雇われてもいいような素振りを見せる。 そこに現れたリタは、商売でチャーリーと組むことをミッチェルに伝える。 ミッチェルはその場を去り、チャーリーは彼の態度を不審に思う。 アニーとカードをしているブラボーの元に向かったミッチェルは、ジェット逮捕に協力することを伝える。 そこにリタが現れ、ブラボーに協力しようとしているミッチェルに意見するが、彼は聞き入れない。 リタは、ジェット逮捕に出発しようとするミッチェルを牢屋に閉じ込めようとするが、逆にその場に閉じ込められる。 ジェット追い山小屋を目指し、その日は野営をしたミッチェルは、補佐三人が夜中に逃げたことをブラボーに伝える。 ブラボーは町に戻る事を考えるが、ミッチェルが一人でも山小屋に向かうと言うため、彼を殴り気絶させて拘束する。 補佐を捜して戻るつもりのブラボーは町に向い、気がついたミッチェルは拘束を逃れて彼を追う。 ミッチェルはブラボーに追いつき、彼に入植者の家で待つよう伝えてジェットの元に向かう。 ジェットに銃を向けて連行しようとしたミッチェルは抵抗されるが、彼を叩きのめしてブラボーの元に戻る。 ミッチェルはジェットをブラボーに渡し、町に連れ帰れば次の保安官選挙で有利になると伝える。 町に戻ったブラボーは人々に仕事ぶりを評価され、ミッチェルが帰ったことでシェリーは安堵する。 酒場に向い、楽屋で待っていたミッチェルはリタを抱き寄せ、自分が他の男とは違うことを彼女に納得させる。 婦人会の会合でスピーチを頼まれ、ジェットの逮捕劇などを語ったブラボーは、適当に話を作る。 その時、ジェットが逃げたということをブラボーは知らされるが、まだ町にいるならミッチェルの担当で自分は管轄外だと答える。 銃撃戦が繰り広げられ、ミッチェルは、馬で逃げようとしたジェットをシェリーの目の前で射殺する。 動揺するシェリーは、ミッチェルの身を案じ恐れる日々が続いていていることを伝える。 愛を告げたシェリーは、自分と逃げることをミッチェルに提案するが、彼はそれを拒む。 シェリーは、町の平和を確保するまでは、銃でそれを解決するしかないと言うミッチェルの考えを理解できない。 入植者達はヘンリーを中心にして団結し、自分達の土地を守ることで意見が一致して作業を始める。 エドの店で有刺鉄線を購入しようとしたヘンリーは、販売を拒まれる。 ヘンリーはエドに相手にされないため、自分の土地を守るのに有刺鉄線が必要なことなどをシェリーに伝える。 自分の夢や平和に暮らせる自信などをシェリーに伝えたヘンリーは、有刺鉄線のある場所を教えてほしいと頼み、金を渡してその場を去る。 シェリーは有刺鉄線を渡し、ヘンリーらはそれで柵を作り自分達の土地を守ろうとする。 それを知ったライカーは、牛を暴走させて柵を壊し土地に入る。 牛は入植者達の土地を荒らして死者も出て、建築中の家は破壊される。 ヘンリーから情況を聞いたミッチェルは酒場に向い、カウボーイを締め出すため、店をたたんで町を出るようチャーリーに伝えるが、彼はそれを拒む。 有刺鉄線を売ったことで、町はライカーの恨みを買い危険な状況になる。 シェリーは、平和を維持できるのが入植者と考えたため、有刺鉄線を売ったことを父エドや町民に話す。 その場にいたミッチェルは、州全体に関わる大きな問題だと指摘し、入植者約1000人と手を組むべきだと主張する。 シェリーは、自分の行動で迷惑をかけたことをミッチェルに謝罪する。 ミッチェルは、戦いは始まってみないと分からないものだと言って、シェリーの気持ちを察し優しく語りかける。 エドは、入植者と商売した場合の取引額を計算し、それが巨額になり、カウボーイよりも得になることを確認する。 ミッチェルは各酒場を回り営業を止めさせ、ヘンリーから仲間を集めたことを知らされる。 ”プライド”に向かったミッチェルは、リタのショーを中止させて、チャーリーに店の明かりを消すよう指示する。 それに従わないため、ミッチェルは銃を使ってチャーリーに言うことをきかせる。 ショーができないリタは憤慨し、楽屋に現れたミッチェルから逃げるよう言われても聞き入れず、彼を追いだしてしまう。 やがてライカーらが現れ、ミッチェルの話も聞かずに暴れ始める。 ライカーは、ミッチェルに従ったチャーリーを殴り倒して酒場に押入る。 ヘンリーは、シェリーが有刺鉄線のことを話し自分達に協力してくれたことに感謝し、お互いの気持ちに気づいた二人は抱き合う。 そこに現れたカウボーイにヘンリーが殴られたため、シェリーは男の銃を奪って殴り倒す。 ミッチェルはシェリーの勇気を称え、彼女はヘンリーとの愛を確認してその場を去る。 ビッグ・アニーは、この状況下で、行方不明の羊を探しに行くと言うブラボーに呆れる。 現れた入植者達は町のために戦うことに躊躇するが、ビッグ・アニーに説得され、ジェットを捕えたことになっているブラボーも現れたために、カウボーイに立ち向かう決心をする。 ミッチェルは、ヘンリーらに散らばるよう指示し、自分は何もせずに見ていることをブラボーに伝える。 店を破壊されたチャーリーはミッチェルに状況を訴えるが、町の解放を望んだのは自分だろうと言われ、その場から逃げ去る。 酒場に向かったミッチェルは、商店は武装した者達が待ち構えていることを伝える。 それを無視するライカーに逮捕することを伝えたミッチェルは、相手が銃を抜いたため射殺する。 銃撃戦となり、ミッチェルはリタに助けられ、彼女と共にその場を逃れる。 カウボーイ達は商店に向うが、町民や入植者が迎え撃ち、ミッチェルは、ライカーが死んだことを伝える。 戦いは終わりだと言うミッチェルは、アビリーンが善良で逞しい人々の町だとカウボーイに伝え、来た道を戻るように指示する。 エドらは戦おうとするが、ミッチェルはそれを制止し、カウボーイの考えに任せる。 カウボーイ達は大人しく町を去り、リタは、シェリーら商人らと仲良くなれたことを喜ぶ。 町には平和が訪れ、ミッチェルはリタにエプロンを渡し平穏な生活を始める考えを示す。 ミッチェルはリタとの時を過ごすため、ブラボーからのカードの誘いを断る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1870年、カンザス州、アビリーン。
テキサスから牛を運ぶ終点であるこの地は、仕事を終えたカウボーイ達が集まる町でもあった。
連邦保安官のダン・ミッチェルは、町で騒ぐカウボーイと町民の関係を監視ししていた。
そんな時、酒場でカウボーイが殺され、牧童頭のライカーは復讐を誓いその場を去る。
その頃、入植者も増えていたため、ミッチェルは、彼らとカウボーイとの争いも避けられないと考える。
入植者の若いリーダー、ヘンリーの話を聞いたミッチェルは、彼らの信念と逞しさを知り、町民と手を組ませるのが得策だと考えるのだが・・・。
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長旅の疲れを癒すため憂さ晴らしをするカウボーイとそれを利用する者達、対する町の治安を守る連邦保安官の単純な戦いを描いている作品でないことに注目したい。
町は、カウボーイが集まるため繁盛する、荒っぽい商売をする酒場側と、同じく彼らを相手にする穏やかな生活を送る商人達とで分裂気味であるという設定が面白い。
また、町の治安を守る連邦保安官と、それ以外を管轄する郡保安官が、それぞれの役目を果たしているというところも興味深い内容だ。
更に入植者まで絡み、複雑な問題が発生するドラマとなるのだが、連邦保安官が犠牲を最小に抑えて解決するという、見事な展開で幕を閉じる。
男の生き様や逞しい人々を描きながら、ユーモアもまじえ、酒場の歌手アン・ドヴォラックのパフォーマンスが絶妙なタイミングで挿入されるなど、見所満載の内容の娯楽作でもある。
周囲の騒ぎに左右されず脅しにも動じない、他を圧倒する雰囲気のある連邦保安官、ランドルフ・スコットの好演が光る。
彼が、無能ではあるが憎めない郡保安官エドガー・ブキャナンをうまく操る姿が実に可笑しい。
主人公に苛立ちながらも、くどくない彼との関係がラストで爽やかに描かれる酒場の歌手アン・ドヴォラック、主人公に心を寄せる、商人(ハワード・フリーマン)の娘ロンダ・フレミング、彼女と惹かれ合うことになる入植者の若きリーダー、ロイド・ブリッジス、町民のヘレン・ボイス、酒場の経営者リチャードヘイル、牧童頭のディック・カーティス、悪党ジャック・ランバート、そしてポール・ブリンガーがギャンブラー役で登場する。