第一次大戦下、ドイツ軍の罠から大隊を救うための伝令に命を懸けるイギリス陸軍兵士を描く、製作、監督、脚本サム・メンデス、主演ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、リチャード・マッデン、アンドリュー・スコット他共演の戦争ドラマ。 |
・マーク・ストロング / Mark Strong / Pinterest
・ベネディクト・カンバーバッチ / Benedict Cumberbatch 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:サム・メンデス
製作
サム・メンデス
ピッパ・ハリス
ジェイン=アン・テングレン
カラム・マクドゥガル
ブライアン・オリヴァー
製作総指揮
ジェブ・ブロディ
オレグ・ペトロフ
イグナシオ・サラサール=シンプソン
リカルド・マルコ・ブーデ
脚本
サム・メンデス
クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:リー・スミス
美術・装置
デニス・ガスナー
リー・サンデルズ
音楽:トーマス・ニューマン
出演
ウィリアム“ウィル”スコフィールド上等兵:ジョージ・マッケイ
トーマス”トム”ブレイク上等兵:ディーン=チャールズ・チャップマン
スミス大尉:マーク・ストロング
レスリー中尉:アンドリュー・スコット
ジョセフ・ブレイク中尉:リチャード・マッデン
ラウリ:クレア・デュバーク
エリンモア将軍:コリン・ファース
マッケンジー大佐:ベネディクト・カンバーバッチ
サンダース軍曹:ダニエル・メイズ
ヘプバーン少佐:エイドリアン・スカーボロー
リチャーズ中尉:ジェイミー・パーカー
ゴードン中尉:ピップ・カーター
ハットン中尉:マイケル・ジブソン
コリンズ大佐:リチャード・マッケイブ
アイヴィンズ大尉:ジャスティン・エドワーズ
ブレン一等兵:クリス・ウォーリー
セポイ・ジョンダラー:ナバーン・リズワン
クック一等兵:アンソン・ブーン
イギリス/アメリカ 映画
配給
Entertainment One(イギリス)
ユニバーサル・ピクチャーズ(北米)
2019年製作 119分
公開
イギリス:2020年1月10日
北米:2019年12月25日
日本:2020年2月14日
製作費 $95,000,000
北米興行収入 $159,227,640
世界 $384,792,490
■ アカデミー賞 ■
第92回アカデミー賞
・受賞
撮影・視覚効果・録音賞
・ノミネート
作品・監督・脚本・作曲・音響編集・美術・メイクアップ&ヘアスタイリング賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1917年4月6日、第一次大戦下、フランス北部、西部戦線。
休息していたイギリス陸軍上等兵トーマス”トム”ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)は、サンダース軍曹(ダニエル・メイズ)から声をかけられ、一人、連れてくるようにと指示される。
ブレイクは、ウィリアム“ウィル”スコフィールド上等兵(ジョージ・マッケイ)と共に塹壕に向かい、サンダースは、エリンモア将軍(コリン・ファース)の元に二人を連れて行く。
エリンモアから、”デボンシャー連隊”の中尉である兄ジョセフ(リチャード・マッデン)を救う話をされる。
エリンモアは、第二大隊が向かっているドイツ軍が撤退したはずの無人地帯(ノー・マンズ・ランド)の後方に、敵が戦線を構築していることを二人に話す。
第二大隊の指揮官マッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)は敵を追うつもりだが、航空偵察により、それがワナだと判明したと言うエリンモアは、総攻撃を始める前にそのことを知らせるよう、ブレイクとスコフィールドに命ずる。 エリンモアは、”エクースト-サン-メイン”を抜けて南東2キロのクロワジルの森にいる、通信も断たれている部隊のマッケンジーに、明朝の攻撃を中止するよう伝えなければ、1600名の兵士が兄ジョセフと共に死ぬとブレイクに説明する。 ブレイクとスコフィールドは、ゴードン中尉(ピップ・カーター)から装備を受け取り、進路を聞き出発する。 危険な任務のため考えを整理しようとするスコフィールドだったが、ジョセフを救いたいブレイクは先を急ぎ、塹壕を進み前線に着く。 ”ソンムの戦い”で勲章をもらったスコフィールドが、それを手放したという話を聞きながら、ブレイクは、道を聞こうとしたスティーヴンソン少佐が戦死したことを知る。 指揮を代わったレスリー中尉(アンドリュー・スコット)と話したスコフィールドとブレイクは、敵の撤退を信じない彼から、鉄条網の隙間があることなどを知らされる。 信号弾を渡されたブレイクとスコフィールドは、塹壕を出て鉄条網に向かう。 スコフィールドは鉄条網で手のひらを傷つけてしまい、ドイツ軍の塹壕に着いた二人は、敵の撤退を確認する。 その場を調べたスコフィールドとブレイクは、地下の兵舎を見つける。 スコフィールドが仕掛けの電線に気づき、ネズミが落下した瞬間に爆発が起きる。 ブレイクは瓦礫に埋まったスコフィールドを助け、崩落が始まったために脱出する。 ホコリが入った目を水筒の水で洗ったスコフィールドは、自分を選んだブレイクを責める。 ブレイクから簡単な任務だと思ったと言われたスコフィールドは、家族の写真を確認して、信号弾を撃つよう指示する。 出発した二人は森を抜け、スコフィールドは、勲章はフランス軍の大尉と交換したことをブレイクに話す。 喉が乾いていたのでワインと交換したと言うスコフィールドの話を聞いて驚いたブレイクは、家族のために国に持ち帰るべきだと伝える。 故郷に帰るのが嫌だったと言うスコフィールドは、戦場に残れないと思いながら、家族に二度と会えないことを覚悟したとブレイクに伝える。 廃屋を見つけた二人は、その場を調べるものの食料など何もなかった。 ミルクを見つけたスコフィールドは、それを水筒に入れる。 上空で空中戦が始まり、友軍機が敵機を攻撃する。 被弾した敵機が迫ったために逃げたスコフィールドとブレイクは、墜落した敵パイロットを助ける。 苦しむ敵兵を射殺して楽にしてやろうとしたスコフィールドだったが、ブレイクから水を汲みに行くよう指示される。 スコフィールドが水を汲む間、ブレイクは敵兵にナイフで刺される。 敵兵を射殺したスコフィールドは、苦しむブレイクを励まし移動させようとする。 ブレイクは、兄ジョセフが自分に似ていることをスコフィールドに伝え、死を覚悟して家族の写真を手にし、母に手紙を書いて欲しいと頼む。 ”自分は恐れなかった、皆を愛している・・・”と言うブレイクは、エクーストからクロワジルの森に向かう道をスコフィールドに確認しながら息を引き取る。 スコフィールドは、マッケンジー大佐への命令書とブレイクの指輪と認識票を外し、遺体を移動させようとする。 そこに、味方の二等兵ペリーとアトキンスが現れ、スコフィールドは、指揮官のスミス大尉(マーク・ストロング)に任務を伝え、エクーストの近くまで送ってもらえることになる。 戦友を亡くし動揺するスコフィールドは、悲しみは忘れるようにとスミスから声をかけられ、トラックに乗り移動する。 途中、ぬかるみにはまったトラックは立ち往生し、急いでいるスコフィールドは、兵士たちの手を借りて車体を動かす。 その後、”エクースト”付近の運河の橋は破壊されていたために停車したスコフィールドは、その場でトラックを降りる。 スコフィールドの幸運を祈ったスミスは、マッケンジー大佐に会う際、第三者の前で話すようにと伝える。 司令官の直接命令だと言われたスミスは、戦いを好む軍人もいるとスコフィールドに伝える。 崩れ落ちた橋を渡ったスコフィールドは、敵の狙撃に遭い反撃し、自分を狙う建物に向かう。 二階にいた敵兵を射殺したスコフィールドはヘルメットを撃たれ、その反動で階段から落下して記を失う。 意識が戻ったスコフィールドは夜だと気づき、炎に包まれる町に向かい、敵兵に発砲されながら逃げる。 ある建物の地下に逃げ込んだスコフィールドは、隠れていた女性ラウリ(クレア・デュバーク)に味方だと伝え、ここがエクーストであることを確認する。 スコフィールドは、南東のクロワジルの森に行くと話し、川がそこに向かっていることを知る。 ラウリに後頭部の傷を手当てしてもらったスコフィールドは、彼女の子ではない赤ん坊がいることに気づく。 携帯している食べ物すべてをラウリに与えたスコフィールドは、子供はミルクしか飲まないと言われて水筒を渡す。 故郷に子供がいるスコフィールドは、ラウリから話しかけてほしいと言われて、子供に語りかける。 ラウリから助けを求められたスコフィールドだったが、任務があるためにその場を去る。 敵兵と出くわしたスコフィールドは、襲い掛かかって格闘になり、相手を絞殺する。 酔っていたもう一人の敵兵から逃れたスコフィールドは、その場から走り去り、追われながら川に落下する。 激流から滝に落ちたスコフィールドは、流木にしがみつきながら、森に近づいたことに気づく。 死体をかき分けて水から上がったスコフィールドは、森の中から聴こえる歌声の方向に向かい、部隊を見つける。 歌を聴きながら呆然とするスコフィールドは、部隊がデボンシャー連隊だと知り、マッケンジー大佐を捜す。 塹壕に向かったスコフィールドは、ハットン中尉(マイケル・ジブソン)に作戦中止の件を話すものの相手にされず、アイヴィンズ大尉(ジャスティン・エドワーズ)に将軍命令を伝える。 アイヴィンズが、恐怖に怯えて放心状態だったために諦めたスコフィールドは、マッケンジーが300m先の指揮所にいることを知る。 突撃が開始され、塹壕から出たスコフィールドは、全力で走り指揮所に着く。 静止されるものの強引に中に入ったスコフィールドは、エリンモア将軍の作戦中止の命令書をマッケンジーに渡そうとする。 話を聞く気がないマッケンジーだったが、スコフィールドから敵のワナだと言われ、仕方なく命令書を読み、部下のヘプバーン少佐(エイドリアン・スカーボロー)に攻撃中止を命ずる。 マッケンジーは、来週は別の命令が下るだろうと話し、戦争が終わるのは、最後の一人になった時だとスコフィールドに伝える。 マッケンジーから怪我の治療を受けるよう指示されたスコフィールドは、ヘプバーンにジョセフ・ブレイク中尉のことを尋ねる。 スコフィールドは、ジョセフが第一波で出撃したことを知る。 ブレイクが死傷者選別所にいる可能性があると言われたスコフィールドは、その場に向かう。 ジョセフを見つけたスコフィールドは、ブレイクが戦死したことを知らせる。 指輪と認識票を渡したスコフィールドは、動揺するジョセフに、ブレイクは独りではなかったという内容の母親への手紙を送りたいことを伝える。 ブレイクはいい若者で、いつも愉快であり、命の恩人だたとジョセフに伝えたスコフィールドは、感謝する彼と握手する。 その後、木陰に腰かけたスコフィールドは、妻子の写真を見つめて物思いに耽る。
...全てを見る(結末あり)
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
1917年4月6日、第一次大戦下、フランス北部、西部戦線。
イギリス陸軍上等兵ウィリアム“ウィル”スコフィールドとブレイクは、司令官エリンモア将軍に呼ばれる。
撤退と見せかけたドイツ軍が、攻撃を開始する”デボンシャー連隊”を全滅させる作戦を計画していることを航空偵察で知ったエリンモアは、スコフィールドとブレイクに、攻撃中止命令の伝令を任せる。
兄ジョセフがいる部隊を救うために先を急ごうとするブレイクは、スコフィールドと共に無人地帯(ノー・マンズ・ランド)に向かうのだが・・・。
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第一次大戦下、ドイツ軍の罠から大隊を救うための伝令に命を懸けるイギリス陸軍兵士を描く戦争ドラマ。
第一次大戦における、ドイツ軍の”ヒンデンブルク線”への戦略的な撤退”アルベリッヒ作戦”に対抗するイギリス陸軍の行動が描かれている。
エンディングで紹介されるが、大戦中、”キングス・ロイヤル・ライフル連隊/第一大隊”の上等兵だった、サム・メンデスの祖父アルフレッド・H・メンデスに捧げられた作品。
祖父から聞いた物語を参考にして、サム・メンデスが製作と脚本を兼ねて監督した。
主人公他を捉える映像が、全編ワンカットのように見えることが話題となった。
リアルな塹壕戦と臨場感あふれる映像と共に、本作は各方面から絶賛され、第92回アカデミー賞で作品賞以下10部門でノミネートされ、撮影、視覚効果、録音賞を受賞した。
・ノミネート
作品、監督、脚本、作曲、音響編集、美術、メイクアップ&ヘアスタイリング賞
製作費に9500万ドルをかけた大作であり、北米興行収入は約1億5900万ドル、全世界では約3億8500万ドルの大ヒットとなった。
主演のジョージ・マッケイは、一見、ひ弱に見えるものの、”ソンムの戦い”で勲章を授与された優秀な兵士であり、任務遂行のために命を懸ける上等兵を好演している。
主人公と共に伝令に向かう上等兵のディーン=チャールズ・チャップマン、伝令に向かう主人公に出くわす部隊の指揮官マーク・ストロング、その上官である大佐リチャード・マッケイブ、主人公に目的地を教える中尉のアンドリュー・スコット、ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)の兄である”デボンシャー連隊”の中尉リチャード・マッデン、主人公が出会う町の地下に隠れていた女性クレア・デュバーク、主人公に伝令を任せる司令官の将軍コリン・ファース、その命令を受けるデボンシャー連隊の指揮官である大佐ベネディクト・カンバーバッチ、その副官の少佐エイドリアン・スカーボロー、主人公の上官である軍曹ダニエル・メイズ、デボンシャー連隊の中尉ジェイミー・パーカー、同じく中尉のマイケル・ジブソン、同じく大尉のジャスティン・エドワーズ、同じく一等兵のクリス・ウォーリー、エリンモア将軍(コリン・ファース)の部下ピップ・カーターなどが共演している。