第二次大戦末期、ノルウェーのロケット燃料工場破壊を命ぜられた爆撃隊員の命懸けの戦いを描く、監督ウォルター・グローマン、主演クリフ・ロバートソン、ジョージ・チャキリス、マリア・ペルシー、ハリー・アンドリュース他共演の戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウォルター・グローマン
製作:セシル・F・フォード
製作総指揮:ルイス・J・ラックミル
原作:フレデリック・E・スミス”633 Squadron”
脚本
ハワード・E・コッチ
ジェームズ・クラヴェル
撮影:エドワード・スケイフ
編集:バート・ベイツ
音楽:ロン・グッドウィン
出演
ロイ・グラント中佐:クリフ・ロバートソン
エリック・バーグマン中尉:ジョージ・チャキリス
ヒルデ・バーグマン:マリア・ペルシー
デイヴィス少将:ハリー・アンドリュース
ドン・バーレット中佐:ドナルド・ヒューストン
フランク・アダムス少佐:マイケル・グッドリーフ
ギルブランド大尉:ジョン・メイロン
ホッピー・ホプキンス中尉:アンガス・レニー
イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1964年製作 102分
公開
イギリス:1964年6月4日
北米:1964年6月24日
日本:1964年7月25日
製作費 $1,300,000
北米興行収入 $1,700,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年、第二次大戦下、ノルウェー。
地下組織のエリック・バーグマン中尉(ジョージ・チャキリス)は、ドイツ軍士官らを待ち伏せて殺害し、追跡を逃れ軽飛行機で飛び立つ。
イギリス空軍基地。
爆撃機”デ・ハビランド モスキート”で編成される633爆撃隊隊長ロイ・グラント中佐(クリフ・ロバートソン)と情報士官フランク・アダムス少佐(マイケル・グッドリーフ)は、指令を受けて到着していたデイヴィス少将(ハリー・アンドリュース)に呼ばれる。
デイヴィスは入国していたバーグマンを二人に紹介し、633爆撃隊に秘密作戦を命ずる。
ドイツ軍は目的不明の建造物をフランスとベルギーに建設していたが、情報部の調査でそれが新型ロケット(V2ロケット)の発射台だと確認された。
連合軍の上陸作戦を控え、その脅威を排除することが重要課題となり、そのロケットに使用される特殊燃料基地の場所をノルウェーで突き止めたのがバーグマンら地下組織だった。 ベルゲンの北のフィヨルド”黑い水”にある工場を、攻撃するのではなく山を爆撃してそれを埋めてしまうというのが計画だった。 バーグマンは、張り出した岩の真下に亀裂を見つけていたため、それを崩せば作戦は成功すると伝える。 目的地では低空飛行をする必要があり、敵の攻撃を受ける可能性に対し、バーグマンらが対空砲火砲の破壊工作を行う予定だった。 燃料の出荷が18日後、訓練にその前日までかけて出撃し、必ず工場を破壊するようデイヴィスはグラントに命ずる。 危険な任務であるため、バーグマンとは立場が違うグラントは心して任務に挑む。 その後、グラントの編隊はスコットランドの岩山を利用した訓練に入る。 実際の目標イメージが掴めないグラントは、バーグマンの記憶を基にその場を部下にスケッチさせる。 ノルウェーの地下組織からの情報で、敵が兵力を増強したことが分かるが、作戦の変更はなかった。 グラントはバーグマンをナビゲーターにして訓練を続け、オーストラリア人パイロットのギルブランド大尉(ジョン・メイロン)らも期待に応える。 基地に戻ったグラントらは敵機の襲撃を受け、多数の死傷者をだす。 その夜、バーグマンの妹ヒルデ(マリア・ペルシー)が基地を訪れ、兄との再会を喜びグラントに挨拶する。 ヒルデは、グラントが酔って女性兵士と一緒だったために印象を悪くしたが、バーグマンは彼を信頼していると答える。 翌日の訓練で、編隊の一機が岸壁に激突してパイロットは死亡する。 気落ちしてうられないグラントは、組織の人員が集まらないため帰国することをバーグマンから知らされる。 グラントはバーグマンをノルウェーまで送ろうとするが、デイヴィス少将の許可を得られなかった。 ヒルデと共にバーグマンを飛行機まで送ったグラントは、彼女のことを頼まれる。 飛び立つバーグマンを見守ったグラントは、兄しか頼る者がいないと言う基地に滞在するヒルデから、バーグマンの行動を教えてほしいと言われる。 宿舎に戻り結婚した部下を見送ったグラントは、ヒルデを誘い翌日に会う約束をする。 落下傘で降下し仲間達の元に戻ったバーグマンは、敵の警戒が強化されたことを知る。 その後、トラックで移動中に敵の検問を突破したバーグマンらは追跡される。 仲間は殺され、バーグマンは抵抗するものの銃弾を受けて捕えられる。 グラントとヒルデは郊外の川に釣りに行き、二人は互いを意識して惹かれ合う。 基地に戻ったグラントは、バーグマンが捕えられたことを同僚のドン・バーレット中佐(ドナルド・ヒューストン)から知らされる。 ゲシュタポに尋問されているバーグマンが口を割るのを阻止するため、本部があるベルゲンを爆撃することが決まる。 バーグマンを見殺しにできないグラントはそれを非難するが、決定を覆すことはできず、彼はその任務に志願する。 グラントはヒルデに電話しようとするものの、受話器を置いて出撃する。 何も知らないヒルデは、飛び立つ爆撃機を見守る。 その頃バーグマンは、イギリスに行った目的と組織のアジトの場所を聞かれ拷問される。 グラントは、ベルゲン上空に到達して目標を爆撃するものの、対空砲火で機体は損傷する。 帰還したグラントは胴体着陸するが、ナビゲイターの部下は脱出できない。 機体は出火し、脱出したグラントは部下を救出しようとするがギルブランドらに制止される。 消火作業後に部下は救出され、グラントらは結婚したばかりの部下が救急車で運ばれるのを見守る。 本部に戻ったグラントは、目標地点を確かに爆撃したことをデイヴィスに伝える。 グラントは気を遣うバーレットに、ヒルデには自分から爆撃のことを伝えると答える。 デイヴィスは作戦決行を告げ、グラントらは翌早朝に出撃することになる。 その後グラントは、一命は取り留めたものの、部下が視力を失うことをその妻から知らされる。 そして、基地には作戦で使用される特殊爆弾が搬送される。 辛い立場のグラントは、バーグマンが爆撃で死亡したことをヒルデに伝える。 ヒルデは、兄を拷問の苦しみから救ったグラントに感謝して彼の胸で涙する。 次の任務のため別れを告げるグラントに、ヒルデは待っていることを伝え再び涙する。 作戦内容を知らされた隊員は出撃準備を始め、訓練に参加していなかったバーレットも志願することをグラントに伝え、彼は小隊を任される。 作戦発動はノルウェーの地下組織にも知らされ、彼らは対空砲火砲を破壊するために現地に向かう。 しかし、敵に待ち伏せされた地下組織のメンバーは襲撃され、アジトに居た者達も含め全滅する。 その報告を受けたデイヴィスは、対空砲火は無傷であり作戦中止の許可を与えるという連絡をグラントに送る。 ナビゲーターのホッピー・ホプキンス中尉(アンガス・レニー)からそれを知らされたグラントは、それを編隊に伝えて突入を指示する。 編隊は目的地に到達し、攻撃を受けながらグラントが最初に岩を爆撃する。 次の機は被弾して爆撃に失敗し岸壁に激突する。 被害を出しながら編隊は次々と爆撃を行い、敵機の襲撃も受ける。 岩の地盤は緩み土砂崩れが始まり、ギルブランドの機は爆撃に成功するものの敵機と激突して大破する。 爆弾は6基投下、9機が撃墜されて残りの爆弾は一基と本部に報告される。 最後の爆弾を投下したバーレットだったが、被弾してエンジンが停止たために墜落する。 その時、岩が崩れ始め、工場はその下敷きとなり大爆発を起こす。 デイヴィスの元には、作戦成功の暗号”ベスビオ”が伝えられる。 グラントは、帰還することを残った一機に伝えるが、その機は撃墜される。 攻撃を受けたグラントの機は不時着して炎上し、ホプキンスは付近にいた村人の助けを借りて気絶したグラントを救い出す。 グラントは意識を取り戻すものの、無事を確認して再び気を失う。 デイヴィスは、グラントからの連絡が受けられないまま、司令部に作戦成功を伝える。 複雑な思いで本部を出たデイヴィスは、今回の作戦は上陸までの時間を稼いだだけだとアダムス少佐に伝える。 アダムスに、犠牲者は何のために戦ったのかを聞かれたデイヴィスは、作戦は成功したと答える。 更に編隊が全滅したことについてをアダムスに問われたデイヴィスは、633爆撃隊は滅びることはないと言い残してその場を去る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1944年、第二次大戦下。
イギリス空軍の爆撃機”デ・ハビランド モスキート”で編成される633爆撃隊隊長ロイ・グラント中佐は、デイヴィス少将から秘密作戦を命ぜられる。
入国していたノルウェーの地下組織のバーグマン中尉が発見した、新型ロケット燃料基地破壊がその内容だった。
工場を直接攻撃できないため、その上方の岩山を崩し破壊する作戦が考えられた。
そのために編隊は低空飛行をする必要があり、敵の攻撃を受けながらの厳しい条件のため、グラントらはバーグマンの協力を得て訓練に入る。
その後グラントは、バーグマンの妹ヒルデと親交を深めるようになる。
作戦決行を前に一旦、帰国したバーグマンがゲシュタポに捕えられたため、グラントは彼の口を封じる爆撃に自ら志願して飛び立つのだが・・・。
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1956年に発表された、フレデリック・E・スミスの小説”633 Squadron”を基に製作された作品。
空軍の全面協力を得て作製されたイギリス映画の力作で、”モスキート爆撃隊”として知られる爆撃機”デ・ハビランド モスキート”が大活躍する展開は、ミリタリー・ファンにはたまらない内容だ。
サスペンス・タッチでもあるノルウェーの地下組織の協力を得た情報戦と、手に汗握る戦闘シーンは当時を考えると十分に迫力がある。
また、クライマックスでの要塞のような燃料基地破壊作戦も見応えがあり、ミニチュアを駆使した特撮の仕上がりも見事だ。
作戦に参加した爆撃隊はほぼ全滅するが、それを戦果に貢献した犠牲と判断し、軍人としての使命を果たすしかない、苦しい立場の司令官の思いが伝わるラストもよろしい。
多くの部下を失いながら、決して後に引くことを考えない勇敢な編隊長を好演するクリフ・ロバートソン、地下組織のメンバーとして祖国ノルウェーのために命を懸けるジョージ・チャキリス、その妹マリア・ペルシー、厳しい立場で作戦を指揮する少将ハリー・アンドリュース、作戦に志願する中佐ドナルド・ヒューストン、情報士官マイケル・グッドリーフ、その後「クロコダイル・ダンディー」(1986)などで活躍するパイロットのジョン・メイロン、前年の「大脱走」(1963)でスティーヴ・マックィーンと共に脱走しようとする捕虜を印象深く演じた、主人公のナビゲイター役のアンガス・レニーなどが共演している。