40年暮らしたアパートを売ることを考える夫婦の複雑な心境を描く、監督リチャード・ロンクレイン、製作総指揮、主演モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン、シンシア・ニクソン他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・ロンクレイン
製作
ロリー・マクレアリー
カーティス・バーチ
トレイシー・マーサー
チャーリー・ピータース
製作総指揮
モーガン・フリーマン
サム・ホフマン
リチャード・トゥーサン
ゲイリー・エリス
ボブ・ガス
ジュディ・バーチ・ガス
原作:ジル・シメント”Heroic Measures”
脚本:チャーリー・ピータース
撮影:ジョナサン・フリーマン
編集:アンドリュー・マーカス
音楽:デヴィッド・ニューマン
出演
アレックス・カーヴァー:モーガン・フリーマン
ルース・カーヴァー:ダイアン・キートン
リリー・ポートマン:シンシア・ニクソン
ミリアム・カーズウェル:キャリー・プレストン
ルース・カーヴァー(若年期):クレア・ヴァン・ダー・ブーム
アレックス・カーヴァー(若年期):コーリー・ジャクソン
ラリー:マイケル・クリストファー
ジャクソン:ジョシュ・パイス
クールな女性:ミリアム・ショア
少年の母親:ジョアンナ・P・アドラー
ブルー・レギンスのセラピスト:アリシア・ライナー
ゾーイ:スターリング・ジェリンズ
クレイマー医師:モーリー・ギンズバーグ
アメリカ 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2014年製作 92分
公開
北米:2015年5月8日
日本:2016年1月30日
北米興行収入 $1,020,920
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、ブルックリン。
画家であるアレックス・カーヴァー(モーガン・フリーマン)は、妻ルース(ダイアン・キートン)と愛犬ドロシーと共に5階のアパートに住んでいた。
結婚して2年後から40年、この眺めのいいアパートで暮らすアレックスとルースは、老いたこともありエレベーターのないアパートを売ることを検討していた。
不動産業者である姪のリリー・ポートマン(シンシア・ニクソン)にアパートの買い手を探してもらっていたルースは、内覧会を控えて部屋を見に来た彼女を迎える。
アパートを売ることに乗り気でないアレックスは自分が説得するとリリーに伝えたルースは、売却額は100万ドルは固いと言われる。
ドロシーの散歩から帰り、息切れしながら階段を5階まで上ったアレックスは、部屋のドアを見つめながら40年前を思い出す。
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1970年代。 アレックスとルースに、明日の内覧会のことを伝えたリリーは、楽しみにしていると言ってその場を去る。 リリーの指示に従い仕方なくアトリエを片付けるアレックスは、100万ドルで売れればどこにでも住めると言うルースに、住み替えの購入に100万ドルかかり、他に費用も必要だと不満を語る。 安い場所で、絵の描けるエレベーター付きのアパートを探す気のルースは、今でも足腰はリリーより丈夫だと言うアレックスに、今後のことを考えていると伝える。 内覧会のことも気が進まないアレックスは、ルースから、ただの下見だと言われる。 ドロシーの様子がおかしいことに気づいたアレックスとルースは、タクシーで病院に向かうものの、”ウィリアムズバーグ橋”でタンクローリーが立ち往生していたために渋滞につかまる。 事件性があり市長が橋の通行を禁止したために、交通状況は混乱する。 病院に着き、クレイマー医師(モーリー・ギンズバーグ)にドロシーを診察してもらったアレックスとルースは、椎間板ヘルニアの疑いがあるためにCT検査を勧められる。 1000ドルかかると言われたアレックスとルースは、老犬ドロシーのために検査を受ける。 その結果、患部が分かり手術が必要だと言われたアレックスは、現実的に考えて、延命するべきかをルースに問う。 蘇生処置拒否書をクレイマーから受けとったアレックスは、それにサインしてしまい、ルースと口論になる。 アパートに戻ったルースは、ネットで椎間板ヘルニアについてを調べる。 アレックスは、警察がウィリアムズバーグ橋の事件の容疑者を特定し、”アブドゥル・パミール”を指名手配されたというニュースを見る。 屋上の家庭菜園に向かったアレックスは、10年前にその場で、ルースに仔犬のドロシーをプレゼントした時のことを想い出す。 部屋の掃除を始めたルースは、アレックスから、橋の爆弾事件で明日の内覧会は中止だと言われる。 リリーに電話をしたルースは、内覧会は予定通り行うことを確認し、アレックスはアトリエを片付ける。 クレーマー医師からの電話を受けたルースは、ドロシーが落ち着いたので、明日、手術を行うことを知らされる。 それを承知したルースは費用が1万ドルかかると言われ、電話を代わったアレックスは、ドロシーが助かるなら何でもしてほしいことをクレイマーに伝える。 ルースは、アレックスに感謝する。 翌朝、橋の事件は”危機”と報道され、収まる気配は見せないままだった。 クレイマーから電話を受けたアレックスとルースは、ドロシーの手術は成功したものの、発作を起こしたため麻酔が切れるまで様子をみると言われる。 リリーが最初のカップルを連れて現れ、部屋を案内する。 帰ったカップルが事件のことを心配していると、リリーはアレックスとルースに伝え、ニュースでは、爆弾はなかったがパミールが武装している可能性があると報道される。 愛犬を連れた女性のカップルに続き、その後も次々と来客が現れる。 アトリエにいた少女ゾーイ(スターリング・ジェリンズ)と話したアレックスは、母親と来たと言われ、なぜアパートを売るのかと訊かれるものの明確な答えを返せない。 ターンテーブルに興味を示したゾーイにレコードを聴かせてあげたアレックスは、女性の裸体の絵について訊かれる。 アレックスは、モデルとしてルースを描き、惹かれ合うようになった40年前のことを想い出す。 内覧会は無事に終わり、オファーの可能性があるペアはいたが、橋の件が解決しなければ難しいとリリーはルースに伝える。 その後、買い物に出かけたアレックスは、パミールに人質にされたと言うバーの店員がインタビューを受けて被害状況を伝えるニュースを見る。 アパートに戻ったアレックスは、オファーがあったという連絡をリリーから受けて興奮するルースから、金額は85万ドルだと言われる。 受けるべきか迷うルースに、アレックスは、橋の事件が解決すれば値は上がるので待つべきだと伝える。 現れたリリーは、当初の犬連れとペアルックの他、ブルー・レギンスのセラピスト(アリシア・ライナー)から88万5000ドルのオファーがあったと言いながら駆け引きを始める。 ペアルックが88万6000ドルに上げてきたと言うリリーは、更に上げそうであり、犬連れもかなり興味を示しているとアレックスとルースに伝える。 アレックスと散歩に出たルースは、クレイマーからの電話で、ドロシーは麻酔から覚めて水を飲んだが、まだ立てないと言われる。 明日の午前中にドロシーに会いに行く約束をしたルースは、アレックスと共に翌日を楽しみにする。 街を歩きながらアレックスは、売れる見込みのない絵は全て捨てると言いながら昔のことを想い出す。 1970年代。 ギャラリーに着いたアレックスとルースは、大勢の人々に歓迎される。 アレックスとルースは、友人の画商ラリー(マイケル・クリストファー)と妻メイ、息子のジャクソン(ジョシュ・パイス)と食事をする。 ギャラリーの仕事を手伝うようになったジャクソンが、アレックスの絵を売るための品物のような言い方をしたため、ルースはそれに意見する。 食事を終えて店を出たルースは、他人に運命を握られていると言うアレックスに、自由に生きてきた自分達は、黒人と白人の結婚が30州で禁止され、20州で嫌悪されていた時代に結婚した過去があると伝える。 それを考えればアパートぐらい直ぐに見つかると伝えたルースは、帰ったら早速、新聞で探すことを提案し、アレックスから、かつての自分と同じだと言われる。 途中で新聞を買って帰宅したルースは、ベッドに入るアレックスの姿を見ながら、自分達の結婚に抵抗感がある母に、家族よりもアレックスを選択すると言い切った時のことを想い出す。 翌日、マンハッタンの110万ドルの物件を見に行くことを決めたアレックスとルースは、病院に寄り回復に向かうドロシーの様子を見て安心する。 ルースと共に物件の内覧会に向かったアレックスは、その場でもゾーイに出くわし、自分のアパートの方が素敵だと言われる。 ドロシーのことを訊かれたアレックスは、手術は成功したがまだ歩けないとゾーイに伝える。 居間のテレビでは事件のニュースが流れ、パミールがタクシーを奪い橋の下に乗り捨ててあったことが分かる。 酷い物件だったために気落ちしたアレックスとルースは、ペアルックも見に来たことを気にしながらランチをとる。 次の物件でもゾーイに会ったアレックスは、そこでも自分のアパートが一番だと言われ、新居が見つかった際にはお茶に招くことを彼女に約束する。 ルースはその場が気に入るが、我が家以上の眺めはないと考えるアレックスは、”眺め”とは、若者達のためのものだろうと思う。 エージェントのミリアム・カーズウェル(キャリー・プレストン)からオファーを出してほしいと言われたアレックスとルースは、地下鉄でブルックリンに向かう。 アレックスから気に入ったと言われたためオファーを出そうとするルースは、自分達のアパートが売れていないことを心配する彼に、必ず売れると伝えて説得する。 物件をどうしても手に入れたい様子のルースを見てアレックスは、子供に恵まれずに苦しんだ際に、彼女を励ましたことを想い出す。 3時半の締め切りだったために、アレックスとルースは、リリーを頼らず自分達でオファーをしようとする。 アパートに戻ったアレックスは、パミールに現金を盗まれたと言っていたバーの店員が、窃盗と虚偽で逮捕されたニュースを見る。 落札できたことをルースから知らされたアレックスは、小切手を持って直ぐに来てほしいとミリアムから言われたと興奮する彼女に、このアパートは持つべきで、事件の最中に大金を渡す気になれないと伝える。 連絡がないことでオファーを再開するというミリアムからの電話が入り、チャンスを逃すと言って苛立つルースはアレックスを責める。 そこにリリーが現れ、ブルー・レギンスが88万5000ドルで、犬連れが修正したオファーを持って来ることをアレックスとルースに伝える。 今朝、内覧会に行ったとルースから言われたリリーは、自分を無視したことを不満に思う。 アレックスは、住む場所まで指示するリリーに、決めるのは自分達だと伝える。 マンハッタンの物件を93万ドルでオファーして落札したと言われたリリーは、悪くないと伝える。 落札してアパートは売れていない現状を考えるリリーは、エージェントがミリアムだと知り、サメのような彼女に食われると言って、一刻も早くこのアパートを売ることを考える。 ミリアムと交渉したリリーは、保証金の引き渡しを5時まで延ばしたことをアレックスとルースに伝える。 リリーから犬連れが来ると言われたアレックスは、焦り過ぎではないかと考える。 市場は闘いだと考えるリリーは、自分が間に入ったとミリアムに言ってほしいと伝える。 犬連れのオファーが95万ドルはいくよう祈るようにと二人に伝えたリリーは、その場を去る。 現れた犬連れからオファーと手紙を受け取ったルースは、次々と入るオファーに戸惑う。 犬連れの手紙を読んだルースは、女性カップルの二人がインド人の養女をとることを決めて、アトリエが子供部屋にピッタリだという内容に心を動かされる。 リリーからの指示でブルー・レギンスのオファーをメールで確認したルースは、96万ドルだとアレックスに伝える。 いい額だと言われたルースだったが、犬連れの手紙が気になり、再オファーをさせたい気持ちになる。 アレックスから、同情は分かるがアパートを少しでも高く売らなければならないと言われたルースは、クレイマーからの電話を受ける。 ドロシーが歩いたことを知らされたルースとアレックスは喜ぶ。 ミリアムの元に向かったアレックスとルースは、リリーがまだだと言われて外で待っているようにと指示される。 現れたリリーと共に中に入ったルースとアレックスは、アパートの持ち主であるヴィンセント夫妻に迎えられる。 ところが、金額が安すぎると考えるヴィンセント夫妻は、オファーを再開する考えを伝える。 険悪なムードになったためにミリアムが間に入り、リリーから訴える考えもあると言われたヴィンセントは、小切手をチェックすることを指示する。 小切手にサインしようとしたアレックスは、パミールが投降して逮捕される姿が映し出されるニュースを見て、テロリストと言われた彼は普通の青年だと思う。 契約書にサインを求められたアレックスはそれを断り、驚くリリーに、この茶番を終わらせると伝える。 1日中、振り回された挙句に売り主に責められたと言って興奮するアレックスは、もう一度、売りに出せばいいと伝えてその場を去る。 一人で決めたことをルースから非難されたアレックスは謝罪し、跪くパミールを見て、自分達も同じ騒ぎを起こしているだけだと気づいたことを伝える。 いい人生を歩んだのに引っ越す必要があるのかと言われたルースは、どこに住んだとしても二人でいることをアレックスに伝えて、愛を確かめる。 リリーから、パミールが逮捕されたのでアパートが100万ドル以上で売れると言われたアレックスとルースは、売るのはやめたと彼女に伝える。 自分達の好きなようにすると言ってアパートに戻ろうとするアレックスとルースは、売る必要がないことに気づいたとリリーに伝えるが、あの場所に永遠には住めないと意見される。 アレックスとルースから、どこでも同じで、もう少し住めると言われたリリーは、今までの自分の苦労はどうなるのかと二人に問う。 ルースから感謝していると言われたリリーだったが、二人を罵倒してその場を去る。 その後、ドロシーもアパートに戻り、散歩などの日課をこなせるようになる。 アレックスとルースは、今回の騒動が自分を見つめ直すことができたいい経験になったと考える。 アパートはいつかは売るだろうが、今はこの場でやっていいこうと思うアレックスは、大切なことは、夫婦らしさと我が家を取り戻せたことだと考えながら、ルースと共に窓から外を眺める。
結婚して2年後にアパートに越したアレックス(モーガン・フリーマン)とルース(ダイアン・キートン)は、新たな生活を始めた。
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...全てを見る(結末あり)
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ルースと共に個展に向かおうとするアレックスは、誰も自分の絵に関心などないと言って足取りが重い。
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、ブルックリン。
画家であるアレックス・カーヴァーと妻のルースは、40年間住んだアパートを売ることを考える。
愛着はあるが、エレベーターがないために5階の部屋まで上がるのが辛くなった二人は、今後のことを考え、不動産業者であるルースの姪リリーに相談していた。
内覧会を開くものの、売却に気が進まないアレックスは、それを焦るルースに思いを伝える。
そんな時、愛犬であるドロシーが椎間板ヘルニアの手術を受けることになり、子供のいないアレックスとルースは心配する。
その頃、付近のウィリアムズバーグ橋でテロと思われる事件があり、アパートの売却額にそれが影響する。
新居も探さなければならないアレックスとルースは、様々な問題を抱えながら、アパートを売ろうとするのだが・・・。
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2009年に発表された、ジル・シメントの小説”Heroic Measures”を基に製作された作品。
イギリスの映画監督であるリチャード・ロンクレインが、ニューヨークのブルックリンを舞台に、ハリウッドを代表する実力派ベテラン・スター、モーガン・フリーマンとダイアン・キートンを主演にして描いたドラマ。
エレベーターがないアパートの5階の部屋で暮らしていたことから、老いた夫婦が売却を考えつつ、長年、住み慣れた愛着のある場所への二人の思い描いた作品。
アパートの付近にあるリアムズバーグ橋で起きるテロの疑いがある事件が、いかにもニューヨークらしい出来事として同時進行し、それが物件の価格に影響していく過程などが面白い。
マンハッタンとつながるリアムズバーグ橋が窓から見える風景とデヴィッド・ニューマンの音楽は実に雰囲気があり、10年以上も使っていると思われる”iMac G4”がさりげなく置かれている場面など、小道具の使い方もいい。
ファンにとってはたまらない、大物スターの組み合わせとなった注目の作品なのだが、拡大公開はされなかった。
40年前の1970年代の主人公の年齢からすると、モーガン・フリーマンは実年齢よりは10歳ほど若い設定である。
80歳目前の彼の深い演技と共に、妻役のダイアン・キートンは、快活な若年期から年をとっても変わらない魅力的な女性を、楽しそうに演じているのが印象的だ。
主人公の妻の姪で、アパートを売ろうとする不動産業者のシンシア・ニクソン、同じく不動産業者のエージェント、キャリー・プレストン、主人公の若年期コーリー・ジャクソン、妻の若年期クレア・ヴァン・ダー・ブーム、主人公の友人であるギャラリーのオーナー、マイケル・クリストファー、その息子ジョシュ・パイス、主人公のアパートを買おうとする犬連れのクールな女性ミリアム・ショア、内覧会に来た少年の母親ジョアンナ・P・アドラー、同じくブルー・レギンスのセラピスト、アリシア・ライナー、母親と内覧会に来た少女スターリング・ジェリンズ、獣医のモーリー・ギンズバーグなどが共演している。