外国人とキリスト教徒の排斥を目的に蜂起した義和団との55日間にも及ぶ列強各国の篭城戦を描く、監督、出演ニコラス・レイ、主演チャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、デヴィッド・ニーヴン、ジョン・アイアランド、フローラ・ロブソン、レオ・ゲン他共演の歴史ドラマ。 |
・エヴァ・ガードナー / Ava Gardner / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ニコラス・レイ
製作:サミュエル・ブロンストン
脚本
フィリップ・ヨーダン
バーナード・ゴードン
撮影:ジャック・ヒルデヤード
編集:ロバート・ローレンス
音楽:ディミトリ・ティオムキン
作詞:ポール・フランシス・ウェブスター
出演
マット・ルイス少佐:チャールトン・ヘストン
ナターシャ・イワノフ男爵夫人:エヴァ・ガードナー
アーサー・ロバートソン卿:デヴィッド・ニーヴン
ハリー軍曹:ジョン・アイアランド
西太后:フローラ・ロブソン
栄禄将軍:レオ・ゲン
デ・ビアン神父:ハリー・アンドリュース
愛新覚羅載イ/端郡王:ロバート・ヘルプマン
セルゲイ・イワノフ男爵:カート・カズナー
スタインフェルド医師:ポール・ルーカス
サラ・ロバートソン:エリザベス・セラーズ
ホフマン大尉:ウォルター・ゴテル
柴五郎大佐:伊丹十三
アメリカ公使:ニコラス・レイ
アメリカ 映画
配給 アライド・アーティスト・ピクチャーズ・コーポレーション
1963年製作 141分
公開
北米:1963年5月29日
日本:1963年10月19日
製作費 $17,000,000
■ アカデミー賞 ■
第63回アカデミー賞
・ノミネート
作曲・歌曲賞”So Little Time”
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1900年、夏、北京。
清朝、中国に進出しようとする欧米他列国は、外国人居住地にひしめき合い、国民の不満が高まっていた。
山東省で蜂起した義和団を利用し、外国勢力及びキリスト教徒の追放を画策する、西太后(フローラ・ロブソン)と甥の愛新覚羅載イ/端郡王(ロバート・ヘルプマン)は、それに反論する栄禄将軍(レオ・ゲン)の意見を退ける。
その頃、アメリカ海兵隊のマット・ ルイス少佐(チャールトン・ヘストン)率いる部隊が北京に到着する。
ルイスはホテルに向かい、各国の指揮官と挨拶を交わし、パスポートが無効となり、国外退去を言い渡されたロシアの男爵未亡人ナターシャ・イワノフ(エヴァ・ガードナー)に一目で惹かれてしまう。 ナターシャが、部屋を追い出されることを知ったルイスは、彼女のために自分の部屋を提供して荷物を戻す。 イギリス公使アーサー・ロバートソン卿(デヴィッド・ニーヴン)に呼ばれたルイスは、北京入城時に、義和団の拷問を受けるイギリス人神父を助けようとしたことを非難される。 ロバートソンは、平和を保つために、今は静観していることが得策だとルイスに告げる。 義和団が、キリスト教徒を皆殺しにしている現場を見てきたルイスはそれに反発し、ロバートソンの意見を手ぬるい考えだと批判するものの、天津行きを命ぜられてしまう。 その夜、ロバートソンが主催する舞踏会が開かれ、ルイスはナターシャを伴いそれに出席する。 ルイスは、ナターシャの義兄セルゲイ・イワノフ男爵(カート・カズナー)に、彼女を天津に同行させるよう要求される。 その後、その場に出席していた端郡王が、連れて来ていた義和団の武芸を披露し、昼間の一件のこともあり、ルイスを挑発する。 しかし、ルイスは義和団に恥をかかせ、ナターシャと共にその場を立ち去る。 翌日、旅立ちの身支度をしていたルイスは、端郡王の命令で、ドイツ公使が、路上で義和団に殺されるのを目撃する。 ロバートソンは、事件の首謀者を知るルイスを同行して西太后の元を訪れ、それが端郡王であることを伝える。 しかし、西太后はそれを聞き入れず、外交官を含めた、全ての外国人の、北京からの24時間以内の退去を命ずる。 この件に関しての各国公使の投票が始まり、アメリカ公使(ニコラス・レイ)はそれを保留する。 それにより、ロバートソンだけが残ることを表明するが、彼は各国をまとめ、結局は退去を拒否することで、11カ国の意見は一致する。 ロバートソンは、救援部隊が到着するまでの間、居住区を守り抜く準備を各国軍部隊に命ずる。 押し寄せる敵の攻撃を、限られた人員で何とか防ごうとする各国軍だったが、多数の犠牲者を出し、ルイスの部下ハリー軍曹(ジョン・アイアランド)は、撤退すべきだと意見する。 部下の死を知ったルイスは、中国人との混血で、孤児となったその娘に、父親の死を知らせる辛い役目も務める。 援軍のイギリス軍の到着は遅れていたが、栄禄将軍は、1週間で北京に到着することを西太后に報告する。 端郡王は栄禄将軍の政府軍にイギリス軍を攻撃させようとするが、それが列強を敵に回すことになることを将軍は指摘する。 しかし、西太后は政府軍に攻撃させるよう栄禄将軍に命じ、戦況は激化をたどる。 そんな時、ロバートソンの息子が銃弾を受けてしまい、妻サラ(エリザベス・セラーズ)は、耐え切れない思いを夫に伝える。 同じ頃、一旦は居住区を脱出しようとしたナターシャは、負傷兵のために病院で看護を手伝う。 やがて、ロバートソンの元に、援軍が政府軍の攻撃を受けたとの連絡が入り、連合軍は窮地に立たされる。 ルイスは、セルゲイの弟であるナターシャの夫が、彼女の、中国人の将軍との浮気が原因で自殺したことを知らされるが、彼はそれを気にしなかった。 西太后は、居住区各国に対し即刻降伏するよう最後通牒を届け、ルイスは単独で強行手段に出ることも考える。 ロバートソンの、攻撃に出る作戦に従うことにしたルイスは、彼や日本軍の柴五郎大佐(伊丹十三)と共に、敵陣に侵入して弾薬庫を爆破する。 その報告を受けた西太后は、連合国との和平の道を探るよう端郡王に命ずる。 援軍が天津にいることを知ったロバートソンは、自分達が全滅していないことを報せるための任務、をルイスに要請する。 ナターシャに別れを告げたルイスは、部下を数人を引き連れて天津に向かう。 薬剤が切れたことを知ったナターシャは、宝石を渡してアヘンや食料を調達する。 ルイスは、途中で破壊活動に遭い、負傷した部下を連れて居住区に戻る。 疲労困憊のルイスは、薬剤や食料を運んで戻ったナターシャが、銃弾に倒れたことを知らされる。 瀕死のナターシャを励ますスタインフェルド医師(ポール・ルーカス)だったが、願いも届かず彼女は息を引き取る。 ルイスは、デ・ビアン神父(ハリー・アンドリュース)の協力で、城壁に攻め込んできたヤグラのような兵器を破壊する。 その後ルイスは、ナターシャが亡くなったことを知らされて愕然とする。 翌日、ロバートソンに励まされたルイスは、55日間戦い抜いていることを二人で確認する。 その時、敵が大挙して逃げ去った後、各国援軍が到着し、耐え抜いた兵士や人々は歓喜してそれを迎える。 ルイスとロバートソンは、再び列強の争いが始まろうとする、居住区の様子を見ながら別れを告げる。
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*(簡略ストー リー)
1900年、北京。
清朝、中国に進出しようとする欧米他列国に対し、キリスト教徒の追放を目的として蜂起した義和団は、西太后の後押しを受け、外国人居留地に攻め込もうとしていた。
穏健派のイギリス公使ロバートソンは、到着した、アメリカ海兵隊のマット・ルイス少佐の先走る考えに対し冷静に対処する。
その地を追放されることになっていた、ロシアの男爵未亡人ナターシャと親交を深めていたルイスだったが、西太后の甥の端郡王が首謀する、義和団兵士によるドイツ公使暗殺現場を目撃してしまう。
ロバートソンとルイスは、西太后にそれを伝えに行くものの、聞き入れられないばかりか、全ての外国人の退去を命ぜられる。
列強各国は、唯一国残ることを決めた、援軍が到着すると言うロバートソンの言葉を信じて従うことを決め、先の見えない篭城戦に突入するのだが・・・。
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清朝末期の動乱”義和団の乱”を、歴史的事実に基づき描いたスペクタクル超大作であり、国際色豊かなキャストや、激戦の様子が迫力映像で展開する。
当時としては破格の、1700万ドルの製作費をかけ、ロケ地スペインの広大な敷地に再現された北京のセットは、多少、違和感があるものの、そのスケールの大きさは圧倒的である。
列強各国の意見の相違や協力体制などの様子などを小気味よく描写する、出演も兼ねたニコラス・レイ(アメリカ公使)の、力強い演出も見応えある。
第63回アカデミー賞では、作曲と歌曲賞”So Little Time”にノミネートされた。
中国側の要人を演ずる役者に確かな演技が求められるため、フローラ・ロブソン(西太后)、レオ・ゲン(栄禄将軍)、ロバート・ヘルプマン(愛新覚羅載イ/端郡王)などの、イギリス人他の実力派がキャスティングされているところも注目だ。
このくらいの大作になると、やはりチャールトン・ヘストン、クラスの重量感は必要で、撮影当時まだ40歳手前ながら、彼の貫禄と存在感は作品に重みを加える。
同様に、美し過ぎるほどの表情を、さらに強調するため、彼女の顔面だけに光を当てる手法も使われた、妖艶な男爵夫人役のエヴァ・ガードナーと、チャールトン・ヘストンとは違った魅力で物語を牽引する、イギリス公使役デヴィッド・ニーヴンの好演も光る。
人間味のある、主人公の忠実な部下役のジョン・アイアランド、勇敢な神父ハリー・アンドリュース、ヒロインの義兄で男爵カート・カズナー、ヒロインと共に働く医師役のポール・ルーカス、イギリス公使夫人エリザベス・セラーズ、連合国の軍人ウォルター・ゴテル、柴五郎大佐役、伊丹十三などが共演している。