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決断の3時10分 3:10 to Yuma (1957)

1953年に発表された、エルモア・レナードの短編小説”Three-Ten to Yuma”を基に製作された作品。
無法者一味のボスの護送を請け負った貧しい牧場主の戦いを描く、監督デルマー・デイヴィス、主演グレン・フォードヴァン・ヘフリンフェリシア・ファー他共演による西部劇の秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト ■
監督:デルマー・デイヴィス

製作:デヴィッド・ヘイルウェイル
原作:エルモア・レナードThree-Ten to Yuma
脚本:ハルステッド・ウェルズ

撮影:チャールズ・ロートンJr.
編集:アル・クラーク
音楽:ジョージ・ダニング
主題歌:フランキー・レイン”3:10 To Yuma”

出演
グレン・フォード:ベン・ウェイド
ヴァン・ヘフリン:ダン・エヴァンス
フェリシア・ファー:エミー
レオラ・ダナ:アリス・エヴァンス
ヘンリー・ジョーンズ:アレックス・ポッター
リチャード・ジャッケル:チャーリー・プリンス
ロバート・エムハート:バターフィールド
ロバート・エレンスタイン:アーニー・コリンズ
フォード・レイニー:連邦保安官
ジョージ・ミッチェル:バーテンダー

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1957年製作 92分
公開
北米:1957年8月7日
日本:1957年9月


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1880年代、アリゾナ準州
今日も駅馬車が襲われ、犯人のベン・ウェイド(グレン・フォード)一味は、抵抗しようとした御者を殺し現金と馬を奪う。

自分の牛の様子を見に来た牧場主ダン・エヴァンス(ヴァン・ヘフリン)はそれを目撃してしまい、ウェイドは彼の馬も奪い足止めをさせてその場を去る。

自宅に戻ったエヴァンスは、苦しい生活の上に無法者を野放しにしておくしかない胸の内を、妻アリス(レオラ・ダナ)から告げられる。

干ばつも続き、今後の暮らしのことをアリスに心配されながら、エヴァンスは、幸せが訪れることを彼女と願いながらビズビーの町に向かう。
...全てを見る(結末あり)

町に着いたウェイド一味は、目撃者を装い、駅馬車の襲撃を酒場の女エミー(フェリシア・ファー)に知らせ、更にその場の状況などを連邦保安官(フォード・レイニー)に説明する。

保安官らは早速、現場に向かい、ウェイドは疑われることを恐れ、手下のチャーリー・プリンス(リチャード・ジャッケル)らと別れて国境を越えようと考え町に残る。

その後、エミーに一目惚れしたウェイドは彼女に言い寄り、二人は愛し合う。

保安官は、駅馬車の襲撃現場に向かう途中、エヴァンスと駅馬車の運営会社社長バターフィールド(ロバート・エムハート)に出くわし、ウェイド一味が犯人だということを知る。

その後、チャーリーは町に戻り、保安官はエヴァンスらの助けを借り、酒場にいたウェイドを逮捕する。

チャーリーはその場から逃亡し、仲間が現われると余裕を見せるウェイドだったが、保安官は直ちに移送することを彼に告げる。

干ばつで、先の見えない牧畜をしていたエヴァンスは、資金難で行き詰まり借金をするつもりで町に来たため、保安官からの更なる協力を拒む。

エヴァンスは、借金が無理だと分かり町を去ろうとするのだが、バターフィールドは、ウェイド護送の助手に200ドル出すことを約束する。

それに飛びついたエヴァンスは、保安官が仕方なく同行を許可した、町の飲んだくれアレックス・ポッター (ヘンリー・ジョーンズ)らと共に、ウェイドを駅馬車に乗せて町を出る。

エミーは、悪党ではあるが心通じ合ったウェイドとの別れを惜しむ。

ウェイドを乗せた駅馬車は、牢獄のあるユマへと出発するように見せかけ、監視するチャーリー達をだまそうとする。

エヴァンスの家の敷地で、わざと駅馬車を立ち往生させ、その隙にウェイドを彼の家に連れて行く。

ウェイドは一家と共に食事をするのだが、アリスは悪人に思えない彼の話に聞き入ってしまう。

そんな妻を気にしたエヴァンスだったが、悪党を捕らえたことで、子供達がそれを誇りに思っていると彼女から言われ気をよくする。

その後エヴァンスとアレックスは、ユマ行き3時10分発の汽車にウェイドを乗せるため、彼を連れてコンテンション・シティに向かう。

コンテンション・シティでバターフィールドと合流したエヴァンスは、ウェイドをホテルの部屋で見張り汽車を待つ。

ウェイドはエヴァンスを牽制し、報酬の倍額で買収しようとするが、彼はそれを拒否する。

町に着いていたチャーリーは、同じホテルのロビーで眠っていたたため、二人が二階の部屋にいることに気づかない。

ウェイドは、干ばつの話などをしながら金額を徐々に上げていき、1万ドルを出すと言い出し、エヴァンスの心が動きは始める。

その時、駅馬車で殺された御者の遺族が、バターフィールドを酔った勢いで脅して部屋に押し入る。

男はウェイドに復讐しようとするが、エヴァンスがその男を叩きのめす。

その騒ぎで、チャーリーがウェイドが監禁されていることに気づき、仲間達の元に向う。

エヴァンスは、バターフィールドに加勢を探すよう指示するが、ウェイドは余裕を見せる。

その頃、状況が心配になったアリスは、夫の身を案じてコンテンション・シティに向う。

バターフィールドは人を集めるが、汽車の時間が気になるエヴァンスは焦りを隠せない。

ウェイドはエヴァンスの心理を読み、自分も家族を持ったらその幸せを願うことなどを語り、彼を動揺させる。

苛立つエヴァンスはウェイドに銃を向け黙らせるが、町民が通りから姿を消したことを気にする。

そして、アレックスがバターフィールドにチャーリーらが戻ってきたことを知らせ、加勢する者達は持ち場につく。

到着したチャーリーらに、部屋の窓から声をかけたウェイドは、自分を逃がすように、尚もエヴァンスを説得し彼を苛立たせる。

加勢していた者達は、一味の人数が予想より多いことなどで怖気付き、手を引いてしまう。

アレックスはチャーリーに銃を向けられるが、エヴァンスに一味が部屋を狙っていることを知らせる。

エヴァンスはその男を撃ち殺すが、アレックスもチャーリーに銃撃される。

余裕を見せるウェイドらと、見せしめに吊るされたアレックスを見たバターフィールドは、諦めて逃げようとする。

そこに、雷鳴轟く中、エヴァンスを案じた妻アリスが町に現れ、金のために命を懸ける彼を止めようとする。

エヴァンスは、覚悟を決めているような口振りで、ウェイドを送り届けてから帰るとアリスに言い残し、汽車の時間が近づく駅へと向かう。

四方で待ち構える一味を警戒しながら、エヴァンスとウェイドは、時間通り到着した汽車が待つ駅のホームでチャーリーらに相対する。

ウェイドの機転で汽車に飛び乗ったエヴァンスは、追ってくるチャーリーを銃撃する。

命を救われたエヴァンスは、ウェイドになぜ自分を汽車に乗せたかを問う。

ホテルで無謀な若造から自分を守ったエヴァンスに、ウェイドは恩返しをしたのだった。

ウェイドはユマで脱獄できると言い放ち、エヴァンスは、自分達の乗る汽車を見つめる妻アリスに別れを告げる。

その時、突然、降り始めた恵みの雨に、エヴァンスとアリスは驚き、神に感謝する。

そして、ウェイドも二人の安堵の表情を見て笑みを浮かべる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1880年代、アリゾナ準州
駅馬車が襲われ、犯人ベン・ウェイド一味は金と馬を奪い、牛の様子を見に来た牧場主ダン・エヴァンスがそれを目撃してしまう。
ウェイドは、エヴァンスの馬も奪い彼を置き去りにして逃走する。
苦しい生活の上、無法者達が野放しだと知り、エヴァンスの妻アリスは、今後の暮らしが心配でならない。
ビズビーの町に着いたウェイド一味は、目撃者を装い、駅馬車の襲撃についてを連邦保安官に説明する。
その後、駅馬車の襲撃がウェイド一味の仕業だと知った保安官は、現れたエヴァンスらの助けでウェイドを逮捕するが、手下のチャーリーらは逃亡する。
干ばつと資金難で行き詰まっていたエヴァンスは、200ドルの報酬欲しさに、ウェイドの護送の助手を引き受けることになる。
その後、ボスを助けようとするチャーリー達を騙して、助手に志願した飲んだくれのアレックスと共に、エヴァンスはウェイド連れて、ユマ行き3時10分発の汽車に乗るため、コンテンション・シティに向かうのだが・・・。
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2007年に、ラッセル・クロウクリスチャン・ベールという2大スターの競演で、リメイク作「3時10分、決断のとき」が公開された。
日本では、お蔵入りになりかけたが、一応、公開はされた。

駅馬車強盗から、いかにも正統派西部劇風に始まる作品だが、犯人一味のボスは即捕らえられ、彼を護送する”ユマ行き3時10分”の汽車の到着時刻に向かって展開する、スリリングなストーリーは見応え十分だ。

無法者との激しい撃ち合いなどよりも、強盗一味のボスに貧しさをつかれ、誘惑される牧場主との駆け引きと心の葛藤を描く異色の西部劇。

貧しくも正義感ある牧場主と強かな無法者が、クライマックスで交わす友情にも似た行動が、ラストの恵みの雨と共に爽やかな感動を呼ぶ、デルマー・デイヴィスの痛快な演出が心地よい。

オープニングとラストで流れる、フランキー・レインの爽快な歌声が効果的に物語を盛り上げる。
http://www.youtube.com/watch?v=nkXDLNRVMxY

どうしても悪党には見えない、グレン・フォードがラストでとる行動と、自らも幸福感を感じているように見える、貧しい牧場主ヴァン・ヘフリンの笑顔を見つめる、彼の笑みが印象的だ。

汽車を待つ長い時間、次第に動揺する心の動きを見事に表現し演じた、「シェーン」(1953)の開拓民を髣髴させるヴァン・ヘフリンも好演している。

後のジャック・レモン夫人で、ウェイド(G・フォード)と愛し合う酒場の女フェリシア・ファー、夫の行き過ぎた行動を案ずるレオラ・ダナ、町の飲んだくれヘンリー・ジョーンズ、ウェイドの手下リチャード・ジャッケル、駅馬車主のロバート・エムハート連邦保安官フォード・レイニーなどが共演している。


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