日本海軍による真珠湾攻撃に対する報復作戦”ドーリットル空襲”を題材に、実際に作戦に参加した原作者であるテッド・W・ローソンの戦う姿と夫婦愛を描く、監督マーヴィン・ルロイ、脚本ダルトン・トランボ、主演ヴァン・ジョンソン、ロバート・ウォーカー、ロバート・ミッチャム、スペンサー・トレイシー共演の戦争ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーヴィン・ルロイ
製作:サム・ジンバリスト
原作
テッド・W・ローソン
ロバート・コンサイダイン
脚本:ダルトン・トランボ
撮影
ハロルド・ロッソン
ロバート・サーティース
編集:フランク・サリヴァン
音楽:ハーバート・ストサート
出演
テッド・W・ローソン中尉:ヴァン・ジョンソン
デビッド・サッチャー伍長:ロバート・ウォーカー
ディーン・ダベンポート中尉:ティム・マードック
デヴィッド・M・ジョーンズ大尉:スコット・マッケイ
チャールズ・マクルア中尉:ドン・デフォー
ボブ・クレバー中尉:ハーバート・ガン/ゴードン・マクドナルド
ボブ・グレイ中尉:ロバート・ミッチャム
エレン・ローソン:フィリス・サクスター
トーマス”ドク”ホワイト中尉:スティーヴン・マクナリー
ジュリカ中尉:レオン・エイムズ
ウィリアム・ハルゼーJr.中将:モリス・アンクラム
ジェームズ・H・ドーリットル中佐:スペンサー・トレイシー
アメリカ 映画
配給 MGM
1944年製作 138分
公開
北米:1944年11月15日
日本:1957年5月21日
北米興行収入 $4,250,000
■ アカデミー賞 ■
第17回アカデミー賞
・受賞
特殊効果賞
・ノミネート
撮影賞(白黒)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1942年2月、太平洋戦争開戦直後、ワシントンD.C.。
”アメリカ陸軍航空軍”のジェームズ・H・ドーリットル中佐(スペンサー・トレイシー)は、日本海軍による真珠湾攻撃に対する報復作戦計画の準備に入る。
B25を24機用意し、パイロットを志願させる極秘任務は、ドーリットル指揮下で実行され、訓練が始まることになる。
*実際の出撃は16機。
フロリダ、エグリン空軍基地。 翌日、志願兵達は集められ、現れたドーリットルは、極秘任務の機密保持を徹底させる。 厳しい訓練が始まることが知らされ、ローソンは、ホテルでの滞在が許された妻エレン(フィリス・サクスター)が現れたことを喜び、訓練に向かうため、彼女と夕食の約束をして別れる。 訓練飛行に飛び立ったローソンは、機内で赤ん坊ができたことを知り、デビッド・サッチャー伍長(ロバート・ウォーカー)やディーン・ダベンポート中尉(ティム・マードック)らと共にそれを喜ぶ。 夕食には戻れなかったローソンだったが、ベッドにいたエレンと共に幸せと愛を確かめ合う。 訓練は続き、通常滑走は1500フィートを時速90マイルなのだが、爆弾と燃料搭載状態で500フィート、50マイルで行うことをドーリットルから指示される。 海軍大尉に訓練を任せたドーリットルは、それが任務のヒントになることを伝えてその場を去る。 滑走訓練は続き、成果を上げた兵士達は、久し振りの休暇を楽しむ。 そんな時、まだ日の昇らない朝方、ドーリットルに招集されたローソンらは、準備の調えられた各機で、カリフォルニアの”アラメダ海軍基地”に向かう命令を受ける。 ローソンは、ホテルに戻り身支度をして、エレンに別れを告げる。 そして、副操縦士のダヴェンポート、航空士のチャールズ・マクルア(ドン・デフォー)、射手サッチャー、爆撃手のボブ・クレバー(ハーバート・ガン/ゴードン・マクドナルド)らと共にローソンは飛び立つ。 サンフランシスコ湾上空。 基地に着陸したローソンは、ドーリットルに迎えられ、機は空母”ホーネット”に搭載される。 翌日、ドーリットルに招集された兵士達は、目的地が日本であることを初めて知らされ、各大都市を爆撃することが任務であることが分かる。 今後はできる限り日本の本土に接近し、爆撃終了後には中国の重慶に向うことなる。 日本のアメリカ大使館の武官であったジュリカ中尉(レオン・エイムズ)は、グレイの不時着時の対処についての質問に、それを避けることとしか返答できなかった。 出撃を前にドーリットルは兵士達に、爆撃は軍事施設に限るが、一般市民が巻き添えになることは避けられないだろうということを語る。 自責の念に駆られると思われる者は、出撃するなと言い切ったドーリットルは、翌日の夜の出撃は予定通り実施されることを告げる。 ドーリットルは、重慶に着いた後にパーティーを開こうと言って兵士の気持ちを和らげ、共に戦えることを誇りに思うと付け加える。 1942年4月18日。 ドーリットルの機を先頭に、エンジンを全開にしたB25は次々と飛び立つ。 サンフランシスコ到着時から不調だった、エンジンを何んとか始動させて飛び立ったローソンは、遅れながら日本本土を目指す。 やがて、富士山を確認し陸地に到達したローソンの機は低空飛行を続け、接近してきた零戦の攻撃も受けずに目標を目指す。 東京上空に到達した機は、目標の工場を確認し、対空砲火の中、爆撃に成功する。 その場を離れ、日本海に抜けて常州に向かった機は、燃料切れ寸前で海岸沖に不時着する。 傷を負いながらも岸にたどり着いたローソンは、部下全員の無事を確認しながら妻エレンを想う。 その後、ローソンらは中国人に助けられ、彼らの村に連れて行かれ、現れた軍人にアメリカ兵だと確認される。 軍人は、ローソンらを介抱するよう村人に指示し、何日もかかる重慶に行くのは無理なことを伝える。 ローソンは、医者が必要なことを軍人に伝えるが、それが不可能なことを知らされた彼らは移動し、船に乗せられある町の医療施設に到着する。 医者がいないままその場に収容されたローソンらは、無傷のサッチャーと職員らに手当を受ける。 ようやく医者が現れるが、薬剤もなく、設備が整った病院ははるか遠方の臨海にしかなかった。 医師は、他のアメリカ兵の生存と、沿岸を捜索していることも知らせ、ローソンらを移送することを伝える。 ローソンは、世話になった施設の者にお礼をしようとするが、日本の本土を爆撃してくれただけで十分だと言われる。 アメリカ兵が去る様子を見ていた老婆は、日本軍の撤退の可能性を信じて涙する。 その後、ローソンらは、医師の父親の病院に運ばれて手当てを受ける。 消毒薬と包帯しかない状況で、ローソンは足を切断するかもしれないことが分かり、作戦に参加した、軍医のトーマス・ホワイト中尉(スティーヴン・マクナリー)の生存の可能性を知り希望を抱く。 ホワイトが生存者達と共に現れ、彼は、壊疽が始まっていたローソンの足の治療を始める。 サッチャーらは、負傷兵を残してその場を去ることになり、ローソンは、帰国して妻エレンに会えたなら、自分が無事だったことを伝えてくれと言って彼に別れを告げる。 ローソンの傷は悪化し、ホワイトは、仕方なく足を切断することを彼に告げる。 覚悟を決めたローソンは、局部麻酔のために意識がある興奮状態のまま手術を受ける。 手術は成功し気力も戻ったローソンは、日本軍が近づく中、アメリカ軍の輸送機が到着することを知り、ダベンポートやホワイトらと共に飛行場に向かう。 ローソンは、医師に感謝して、アメリカの部隊が到着することを約束し、共に戦うことも誓う。 輸送機は飛び立ち、ローソンはコックピットに向かい、操縦桿を握らせてもらう。 作戦を成功させて2階級昇進したドーリットル准将からの電話を受けたエレンは、ローソンが帰国したことを知らされて母と共に喜ぶ。 しかし、片足を失ったローソンが、自分に会いたがらないことをエレンは悲しむ。 エレン自身も、自分が妊娠して太ったために、ローソンがどう思うかを気にして不安を感じる。 ワシントンD.C.。 それに納得がいかないドーリットルだったが、再度話し合うことを約束してその場を去る。 その直後に、現れたエレンに驚いたローソンは、思わず車いすから立ち上がり転んでしまう。 エレンは夫に寄り添い、諦めかけていた時に彼女を想ったというローソンと共に、二人は笑みを浮かべながら愛を確かめ合う。
B25で到着したテッド・W・ローソン中尉(ヴァン・ジョンソン)やボブ・グレイ(ロバート・ミッチャム)ら志願兵は、任務の内容も知らずに考えを巡らせる。
...全てを見る(結末あり)
ローソンらは、停泊中の空母の艦上のB25を確認し任務の内容を理解し始める。
空母は日本軍に発見されて攻撃を受け、ローソンらは直ちに出撃することになる。
ローソンは、ドーリットルの訪問を受け、退役する意思とエレンにも暫く会わないことを伝える。
*(簡略ストー リー)
1942年2月、
太平洋戦争開戦直後、ワシントンD.C.。
”陸軍航空軍”のジェームズ・H・ドーリットル中佐は、日本海軍による真珠湾攻撃に対する報復作戦の準備を始める。
ドーリットルは、B25の編隊と志願兵テッド・W・ローソン中尉らをフロリダ、エグリン空軍基地に招集し、極秘任務の厳しい訓練を始める。
ローソンは、現地のホテルで妻エレンとの生活を許され、子供が生まれることも知り、彼女と喜びを分かち合う。
滑走訓練も終わり、ローソンは突然の移動命令を受けてエレンに別れを告げ、サンフランシスコの”アラメダ海軍基地”に向かう。
B25は空母ホーネットに搭載され、ドーリットルに招集されたローソンらは、攻撃目標が日本本土であり、任務が、大都市の軍事工場地帯の爆撃作戦であることを知らされる・・・。
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1943年に発表された、ドラマの主人公テッド・W・ローソンの著書”Thirty Seconds Over Tokyo”と同行記者ロバート・コンサイダインの手記を基に製作された作品。
真珠湾攻撃以来劣勢を続けるアメリカ軍が、決死の報復作戦として、日本本土を初めて爆撃するあまりにも有名な”ドーリットル空襲”がベースということもあり、アメリカ陸軍航空軍や海軍の全面協力による、戦時下に製作された大作でもある。
”ドーリットル空襲”は、「パール・ハーバー」(2001)で詳しく描かれている。
しかし、タイトルともなっている空襲の場面などは意外なほどあっさりと描かれ、歴史的な作戦に参加した、主人公の妻への想いなどを描写する場面などの方が印象に残る、ダルトン・トランボ脚本による、マーヴィン・ルロイらしい愛のドラマとも言える作品。
前年の同じマーヴィン・ルロイ作品「キュリー夫人」(1943)にも出演した主人公テッド・W・ローソンを熱演するヴァン・ジョンソンと、その部下で、射手を愛嬌のある演技で演ずるロバート・ウォーカー、二人の若手がファースト・クレジットであり、両者を見ているだけでは、好演はしているものの、やや深みに欠ける内容でもある。
当然、大スターのスペンサー・トレイシーの作品のように宣伝されているのは間違いであり、彼は、アメリカの英雄でもあるジェームズ・H・ドーリットル(最終軍歴・空軍大将)を存在感抜群に演じてはいるが、主人公らをサポートする控えめな演技をしているところも注目だ。
初公開時は戦時中ということもあり、日本で公開されるはずもなく、1957年の日本公開時には138分の長編を、何と97分にカットして公開された。
第17回アカデミー賞では特殊効果賞を受賞し、ロバート・サーティースとハロルド・ロッソンが撮影賞(白黒)にノミネートされた。
主人公の同僚ティム・マードック、ドン・デフォー、ハーバート・ガン、後の空軍少将デヴィッド・M・ジョーンズ大尉役のスコット・マッケイ、かなり印象に残る主人公の友人で、まだ20代のロバート・ミッチャム、主人公の妻フィリス・サクスター、軍医スティーヴン・マクナリー、日本駐在経験のある中尉レオン・エイムズ、ウィリアム・ハルゼーJr.中将のモリス・アンクラムなどが共演している。