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2010年 2010 (1984)

イギリスのSF作家アーサー・C・クラークスタンリー・キューブリックの共同原案を基に製作された1968年に公開された、SF映画の傑作「2001年宇宙の旅」の続編。
監督ピーター・ハイアムズロイ・シャイダージョン・リスゴー、そして若きヘレン・ミレンら実力派スター競演のSF大作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト ■
監督:ピーター・ハイアムズ

製作:ピーター・ハイアムズ
原作:アーサー・C・クラーク
脚本:ピーター・ハイアムズ
撮影:ピーター・ハイアムズ
編集
ジェームズ・ミッチェル
ミア・ゴールドマン
美術・装置
アルバート・ブレナー
リック・シンプソン
音楽:デイヴィッド・シャイア

出演
ヘイウッド・R・フロイド:ロイ・シャイダー
ウォルター・カーノウ:ジョン・リスゴー
ターニャ・カーバック:ヘレン・ミレン
R・チャンドラ:ボブ・バラバン
デイヴ・ボーマン:キア・デュリア
ディミトリ・モイセーヴィッチ:ダナ・エルカー
キャロライン・フロイド:マドリン・スミス
ヴィクター・ミルソン:ジェームズ・マクイーチン
ベティ・フェルナンデス:メアリー・ジョー・デシャネル
マクシム・ブラジロフスキー:エリヤ・バスキン
ユーリ・スネトラノフ:ウラジミール・スコマロフスキー
ジェシー・ボーマン:ハータ・ウェア
ホワイトハウス前公園のベンチの男性:アーサー・C・クラーク
HAL9000(声):ダグラス・レイン
SAL9000(声):キャンディス・バーゲン(オルガ・マルスネード)
フランク・プール:ゲイリー・ロックウッド

アメリカ 映画
配給 MGM
1984年製作 115分
公開
北米:1984年12月7日
日本:1985年3月23日
製作費 $28,000,000
北米興行収入 $40,200,000


アカデミー賞 ■
第57回アカデミー賞
・ノミネート
美術・衣装デザイン・視覚効果・メイクアップ・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
2001年12月9日。
アメリカ宇宙評議会(NCA)議長ヘイウッド・フロイド博士(ロイ・シャイダー)は報告する。

1999年、月面の”静かの海”で発見された正体不明の黒石板”モノリス”は、木星に向けて信号を発信していた。

2001年、アメリカの宇宙船ディスカバリーは、船長のデイヴ・ボーマン(キア・デュリア)や副官フランク・プール(ゲイリー・ロックウッド)らを乗せ木星圏に到着した。

その後、船内に搭載された工知能HAL9000(ダグラス・レイン:声)が機能異常を起こし、プールと冬眠中の科学者を殺害する。

ボーマンはHALの機能を停止させ、そして、長さ2キロにも及ぶモノリスに遭遇する。

その後、ボーマンは調査を開始し、”すごい、降るような星だ”という言葉を残し消息を絶った。
__________
...全てを見る(結末あり)

2010年。
ソ連の科学者であるディミトリ・モイセーヴィッチ(ダナ・エルカー)は、ディスカバリーの探査失敗の責任を取り、NCAを去っていたフロイドの元訪ねる。

モイセーヴィッチは、消息不明のディスカバリー探査のために打ち上げるソ連の宇宙船レオノフが、アメリカの宇宙船よりも先に木星到達することを伝える。

ソ連は情報がないため、船内やHALについての調査が容易に行われないことが考えられ、モイセーヴィッチはフロイドにレオノフへの搭乗を求める。

木星の第1衛星”イオ”の軌道上のディスカバリーを確認したフロイドは、レオノフに乗り込むことを決意し、自分の後を継いだヴィクター・ミルソン(ジェームズ・マクイーチン)にそれを伝える。

フロイドは、ディスカバリーの設計者ウォルター・カーノウ(ジョン・リスゴー)とHALを開発したR・チャンドラ博士(ボブ・バラバン)も同行させようとする。

チャンドラは、HALの後継としてSAL9000(オルガ・マルスネード:声)を完成させていた。

その後、フロイドは妻キャロライン(マドリン・スミス)に宇宙船に乗ることを話し、彼女はショックを受ける。

4ヵ月後、宇宙船レオノフは発射され、やがて木星圏に到達したフロイドは、人工冬眠から目覚める。

フロイドは、木星の第2衛星”エウロパ”から興味深いデータが送られてきたことを、船長ターニャ・カーバック(ヘレン・ミレン)から知らされる。

冷戦下(映画製作当時)の、米ソ関係を承知で搭乗したフロイドだったが、ソ連側の乗組員からは全面協力を受けられる雰囲気ではなかった。

エウロパに調査機を向かわせ、生命を持つ有機体のようなものを見つけかけた時、調査機は何らかの力で弾き飛ばされる。

今まで一度も確認されていない葉緑素の存在に、フロイドはモノリスと関係があり、それが木星には近づくなという警告でないかと考える。

レオノフは、木星の大気圏に突入しブレーキをかけ、イオの軌道に乗ることに成功する。

カーノウとチャンドラが目覚めたことを知らされたフロイドは、地球上での米ソの問題もあり、ソ連側が神経過敏になっていることと、エウロパで何かが起きていることを二人に告げる。

そして、レオノフはディスカバリーとランデブー状態となり、カーノウは、ソ連側の乗組員マクシム・ブラジロフスキー(エリヤ・バスキン)と共に船外活動を始める。

宇宙飛行士ではないカーノウは、恐怖に怯えながらようやくディスカバリーに到着し、二人は船内に入り船体の機能を回復させる。

その後、ディスカバリーをレオノフに接近させ、往来用の通路を設置する。

ディスカバリーに乗り込んだチャンドラは、早速HALを復旧させる。

フロイドも後に続き、HALに接続している回路に、非常事態に備え装置を取り付けることを、チャンドラには秘密でカーノウに指示する。

やがて、レオノフとディスカバリーはモノリスに接近して、カーバック船長はブラジロフスキーを調査に向かわせる。

ポッドに乗りモノリスに接近したブラジロフスキーだったが、突然の閃光と共に宇宙空間に弾き飛ばされてしまう。

地球では、ボーマンの未亡人であるベティ・フェルナンデス(メアリー・ジョー・デシャネル)が、テレビ映像で、消息を絶った夫から別れのメッセージを受取る。

フロイドの制止を振り切り、強引にブラジロフスキーを調査に向かわせたカーバックは、責任を感じ落胆する。

彼女を慰めたフロイドは、カーバックとようやく心を通わせることが出来る。

チャンドラは、ボーマンとプールが離船した状況などをHALに尋ねるが、何も分からなかった。

しかし、極秘であったモノリスの存在が、ホワイトハウスの”国家安全保障会議”(NSC)の決定で、HALに知らされていたことをチャンドラはフロイドに知らせる。

それによってHALは、ボーマンらに嘘をつくプログラミングをされ、そして混乱したHALに障害が生じたのだった。

同じ頃、意識不明だったボーマンの母ジェシー(ハータ・ウェア)は、突然意識を取り戻し、櫛が彼女の髪をとかす。

その後、笑顔を見せたジェシーは安らかに息を引き取る。

そして、米ソの関係は緊張状態から攻撃態勢に入り、外交関係が断絶され、実質的に戦争状態となる。

フロイドらもソ連側と別れることになり、彼らはレオノフからディスカバリーに移り、28日後に帰還の途に着くことになる。

ディスカバリーで出発を待つフロイドは、HALから出発を早めるよう言われ、それがボーマンの指示だということを伝えられる。

それを信じないフロイドの前にボーマンが現れ、彼は老いや若返りを繰り返しながら、素晴らしいことが起ころうとしていることと、2日以内に出発するよう警告する。

規則違反を承知でレオノフに向かったフロイドは、2日以内に飛び立つようカーバックを説得する。

早期の出発で燃料不足になることを指摘するカーバックに、フロイドは、双方の船体を連結し、ディスカバリーの推進力で発進し、その後レオノフで帰還する方法を提案する。

その時、フロイドとカーバックはモノリスが消えたことに気づき、協力し合って帰還することを決めてその準備を始め、同時に木星には巨大な黒点が確認される。

発進時のHALの反応が心配される中、木星の黒点が巨大化し始め、それが無数のモノリスだということが分かる。

HALが発進直前に黒点の調査を提案したため、フロイドはHALの機能を停止し、手動発進に切り替えようとする。

発進時限を待たない理由をチャンドラに尋ねたHALは、ディスカバリーの運命と乗組員の危険を知らされて納得する。

残ろうとするチャンドラを、レオノフに向かわせたHALは、ディスカバリーを発進させ、その後レオノフは船体を切り離し地球に向かう。

HALは、ボーマンの命令で、地球に向けて最後のメッセージを発信する。

木星全体は黒点に吸い込まれ爆発し、その衝撃波がディスカバリーを飲み込みレオノフを襲う。

そして、難を逃れたレオノフは、HALが送ったボーマンのメッセージを受信する。
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これらの全ての世界は、あなたがたのもの、但しエウロパ
は違う。

エウロパへの着陸を試みてはならない。

全ての宇宙を、皆で平和に利用するように。
__________

その後、米ソ首脳は新しい太陽の誕生を確認して、メッセージを読みそれから学び取り、危機は回避される。

レオノフの船内でも、米ソ双方に信頼が芽生え、新しい生命の誕生を実現させたモノリスが、人類を超越した何かを示すものであることを、フロイドは知り眠りにつく。

そして、第2の太陽は、エウロパに生命を誕生させる。

そこには、モノリスがそびえ立っていた。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
謎の黒石板”モノリス”探査に、木星に向かった宇宙船ディスカバリーが消息を絶ってから9年、冷戦下の米ソは、その謎を解明するために再び探査機を木星に送ろうとしていた。
ソ連宇宙船レオノフに乗り込むことになった、前回の探査の責任者ヘイウッド・R・フロイド博士に、ディスカバリーの設計者カーノウと人工知能HAL9000の開発者チャンドラが同行することになる。
そして木星圏に到着したフロイドは、衛星のエウロパに、未だ確認されていなかった生命反応を見つけ、 それがモノリスと関係するかの調査を始めようとする。
しかし地球上では、米ソの関係が悪化して、人類の危機が近づいていた・・・。
__________

ピーター・ハイアムズ製作、監督、脚本、撮影による作品で、世紀の名作の続編に懸ける彼の意欲が窺える。

前作が、その圧倒的な映像感覚で訴える作品であったのに対し、本作は謎の石板”モノリス”の正体や、当時の世界情勢を反映した米ソの冷戦を中心に、ドラマチックな物語に描かれている。

斬新なアイデアと創作物で、今観ても全く古臭さを感じさせない前作に対し、当時の最先端のテクノロジー描写に、違和感や時代の変化を感じてしまう。
例えば、アップルコンピュータの”Apple II”など、登場する機材や装置が、物語の設定を過ぎた今現在の品々と比べると、やや発想に難ありだ。

また、疾うに終わりを告げた米ソ冷戦がポイントとなる内容なので、余計にそれが際立ってしまうのが残念だ。

それを考えると、スタンリー・キューブリックの感性と創造力には、改めて驚かされる。

キューブリックと原作者アーサー・C・クラークは、作品中、米ソ各首脳として雑誌”TIME”の表紙を飾り、クラークは、序盤でホワイトハウス前の公園のベンチに座っている役で出演もしている。

第57回アカデミー賞では、美術、衣装デザイン、視覚効果、メイクアップ、 録音賞にノミネートされた。

前作のウィリアム・シルベスターとはかなり雰囲気が違う、フロイド博士を演ずるロイ・シャイダーだが、知性に野性味も加えた逞しさもあり、結果的に、人類を救う役割を担う人物を好演している。

大柄で、いかにもアメリカ人らしいエンジニアとして登場するジョン・リスゴーは、宇宙空間で怯える姿や茶目っ気ある人柄が微笑ましく、対照的に、生真面目な科学者で、HAL9000の開発者ボブ・バラバンが、機械のHALに対し”親心”を見せる、クライマックスでの別れのシーンも印象的だ。

公開当時は名前すら知らなかったが、後に大女優となり、「クイーン」(2006)でアカデミー主演賞を受賞する、ソ連の宇宙船レオノフ船長を演ずるヘレン・ミレンの、若かりし(とは言っても40歳手前)姿も注目だ。

前作に続き登場する、消息不明だったボーマン船長キア・デュリアソ連の科学者ダナ・エルカー、主人公の妻マドリン・スミス、米宇宙評議会議長ジェームズ・マクイーチン、ボーマンの未亡人のメアリー・ジョー・デシャネル、命を落とすレオノフの乗組員エリヤ・バスキン、ボーマンの母親役のハータ・ウェア、HAL9000の声は、前作と同じくダグラス・レイン、後継機のSAL9000は、オルガ・マルスネードとクレジットされているキャンディス・バーゲンが担当し、ディスカバリー副官ゲイリー・ロックウッドが、前作の作品映像で登場する。


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