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海底二万哩 20,000 Leagues Under the Sea (1954)

1870年に発表された、ジュール・ヴェルヌのSF小説”海底二万里”を基に製作された作品。
潜水艦”ノーチラス号”を発明したネモ艦長と航海することになった海洋学者と助手そして銛打ちの名手の冒険を描く、製作ウォルト・ディズニー、監督リチャード・フライシャー、主演カーク・ダグラスジェームズ・メイソンポール・ルーカスピーター・ローレ他共演のSFアドベンチャー・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:リチャード・フライシャー

製作:ウォルト・ディズニー
原作:ジュール・ヴェルヌ海底二万里
脚本:アール・フェルトン
撮影:フランツ・プラナー
編集:エルモ・ウィリアムズ
美術・装置
ジョン・ミーハン
エミール・クーリ
音楽:ポール・J・スミス

出演
ネッド・ランド:カーク・ダグラス
ネモ艦長:ジェームズ・メイソン
ピエール・アロナックス教授:ポール・ルーカス
コンセイユ:ピーター・ローレ
ノーチラスの一等航海士:ロバート・J・ウィル
ブレティン誌の記者:デイトン・ルーミス
ファラガット艦長:テッド・デ・コルシア
ジョン・ハワード:カールトン・ヤング
ビリー:J・M・ケリガン
ポスト誌記者:ジャック・ガーガン
御者:パーシー・ヘルトン
エイブラハム・リンカーンの一等航海士:テッド・クーパー
ケーシー:フレッド・グレアム
船積係:エディー・マー
チケット係:ハリー・ハーヴェイ

アメリカ 映画
配給 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
1954年製作 127分
公開
北米:1954年12月23日
日本:1955年12月23日
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $28,200,000


アカデミー賞
第27回アカデミー賞

・受賞
美術(カラー)・特殊効果賞
・ノミネート
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1868年、南太平洋
相次ぐ沈没事故により海の怪物の噂が流れ、航海する船舶は激減した。

”グレート・ウエスタン汽船運輸会社”。
パリ国立博物館の海洋学者ピエール・アロナックス教授(ポール・ルーカス)は、助手のコンセイユ(ピーター・ローレ)と共にサイゴンに向かおうとするが、船は欠航だと言われてしまう。

記者の質問に答えたアロナックスは、大袈裟な記事になったことに驚くものの、発想は悪くないと考える。

そこに現れたアメリカ政府の役人ジョン・ハワード(カールトン・ヤング)は、東南アジア行きを希望するアロナックスに、例の”怪物”の調査を依頼する。
...全てを見る(結末あり)

各国も調査団を組織していることを知らされ、優位に立つために是非、参加してほしいと言われたアロナックスは、それを承諾する。

怪物を全く信じないファラガット艦長(テッド・デ・コルシア)の船”エイブラハム・リンカーン”に乗船したアロナックスとコンセイユは、銛打ちの名手ネッド・ランド(カーク・ダグラス)らと共に航海を続ける。

最初の1か月は同じ航路を何度も回るものの怪物は現れず、その後も全く進展はなかった。

乗員を集めたファラガットは調査を中止することを伝え、サイゴンには送ることをアロナックスに伝える。

その直後、付近を航行する船舶が爆発し、ファラガットは、現場に向かうよう指示する。

生存者は見つからないまま、怪物の仕業か否かで意見は別れるが、浮遊物が見つかる。

物体が近づいたために、ファラガットは戦闘態勢を整え、砲撃を開始する。

迫る物体にネッドは銛を放つが、衝突されて海に落ちる。

アロナックスも落下してしまい、それを知ったコンセイユは海に飛び込む。

舵が壊れた”エイブラハム・リンカーン”は遠ざかってしまい、漂流していたアロナックスとコンセイユは、”怪物”のような物に近づき、それが潜水艦だと分かる。

声をかけながら内部に入ったアロナックスは、その技術力に驚き、造った者は天才だと考える。

誰かの声がしたために外に出たコンセイユは、それがボートで漂流していたネッドであることに気づき、彼と共に艦内に戻る。

アロナックスがいた海中が見える部屋に向かったコンセイユは、海底で葬儀をしている者達を確認する。

その中のリーダーと思われる者がアロナックスとコンセイユに気づき、艦内に戻ろうとする。

アロナックスとコンセイユは、ネッドと共にボートで逃げようとするが、浮上した者達に襲われる。

艦内に戻った潜水艦”ノーチラス号”のネモ艦長(ジェームズ・メイソン)は、内部を調べるよう部下に命ずる。

捕えられたアロナックスは艦内に連れて行かれ、ネッドとコンセイユのことをネモに話し自己紹介する。

著名な海洋学者であるアロナックスを尊敬していたネモは、彼だけを残して、ネッドとコンセイユを外に連れ出すよう命ずる。

アロナックスは不満を訴えるが、彼の意見を聞こうとしないネモは、深海の神秘の驚異を語る。

それに興味を示さないアロナックスを甲板に出したネモは、潜水するよう指示するが、三人の様子を見て浮上する。

三人を艦内に戻し食事に招待したネモは、素晴らしい食材だと言うアロナックスに、地上のものは何もないと伝える。

実際の食材を教えられたネッドは吐き出してしまい、クレスポ島に着くので、自分で食べ物を探すようにとネモに言われ、狩りを許可される。

ネッドとコンセイユは席を外し、なぜ殺さなかったのかとアロナックスから訊かれたネモは、仲間への忠誠心を試したと答え、艦内で好きなように暮らしてほしいと伝える。

海底に沈んだクレスポ島に到着し、ネッドとコンセイユは、潜水服を着て乗員と共にその場に向かう。

その様子を見ていたアロナックスが、体験してみたいと言うため、ネモは彼を連れて海底に向かう。

アロナックスは、ネモの言う神秘の世界に足を踏み入れ、ネッドとコンセイユは、乗員と共に様々な物を収穫する。

沈没した海賊船の財宝の箱を見つけたネッドとコンセイユは、それを持ち帰ろうとするものの、サメに襲われそうになる。

ネモが水中銃の一撃でサメを追い払い、ネッドとコンセイユは艦内に連れ戻される。

財宝のことを話すネッドは興奮するが、ネモは、食料の確保が目的であり、財宝は食べることができないと話す。

ここでは単なるバラストだと言って、ネモは財宝の山をネッドに見せる。

三人の命に係わるためトラブルを起こさないようにと、ネッドはアロナックスから注意される。

ネモの秘密を探ることが目的のアロナックスの考えに同意できないネッドは、宝の山を目の前にして黙ってはいられない。

宝を諦めろと言われたネッドは、約束はできないとアロナックスに答えるが、ネモに信頼されるために、暫くは自分に従うようにと説得される。

一応納得したネッドは、ネモは精神異常者だと言って、逃亡の手段を考えておくとアロナックスに伝える。

その後アロナックスは、ノーチラス号での生活を克明に記録し、宝を諦めていないネッドをコンセイユに監視させる。

航海は続き、アロナックスは、ネモが発見した宇宙の真のエネルギーが、ノーチラス号の動力源だと知る。

そのエネルギーで世界に革命が起こせると言うアロナックスだったが、破壊も引き起こすことができると言うネモの言葉を気にする。

地上で行われている愚行も海中には及ばないと、ネモはアロナックスに語る。

1万マイルの旅をしたネモは、アロナックスを連れてある島に上陸し、白人の墓場であるロラパンディー収容所の様子を見せる。

囚人達が、弾薬用の硝酸塩リン酸塩を運んでいることを知らせたネモは、それを運ぶ船が本国に戻れば、世の中が死に近づくとアロナックスに話す。

自分もかつては囚人だったというネモは、乗員達がその仲間だとアロナックスに伝える。

脱獄してバルケニアという島に向い、そこでノーチラス号を造ったと言うネモは、目的を果たしたら帰港するとアロナックスに話す。

その後、船が島から出向するのを待ったネモは、突撃して船体に突っ込む。

爆発した船は沈み始め、海中で大破する。

同じ船員が殺されるのを見たネッドは、ネモに取り入るからだと言ってアロナックスを責める。

人殺しの偽善者だと言ってネモを痛烈に非難したアロナックスだったが、反論するネモは、潜水艦の動力源を知ろうとした相手に、妻子が拷問されて殺されたことを話す。

憎しみは愛と同じく人の心を満たすと言うネモに、憎悪が原動力だとは残念だと伝えて、アロナックスはその場を去る。

ネモは殺人を楽しんでいる愚かな男だと言うコンセイユに、何も知らずに意見するべきではなく、世界のために役立つ自分を自覚させることが必要だと、アロナックスは意見する。

そうすれば、ネモは自らを厳しく裁くはずだと言うアロナックスは、コンセイユを納得させる。

自分を”艦長”と皮肉で呼んだコンセイユに、それを確認したアロナックスは、ネモに似ていると言われる。

不満げなコンセイユはネッドの元に向い、アロナックスのスパイだと言われるが、教授はネモに丸め込まれていると伝える。

アロナックスを救うために協力し合うことを提案したコンセイユは、ネッドに目的地がバルケニアだと伝え、二人は行動を開始する。

突撃で損傷した個所を修理することをネモに伝えた一等航海士(ロバート・J・ウィル)は、作業のため乗員を海中に向かわせる。

その隙に、コンセイユに見張らせたネッドは、地図でバルケニアの位置を確認しようとするが、一等航海士が戻って来たために身を潜める。

ネモの部屋を調べたネッドとコンセイユは、その場にあった地図でバルケニアの位置を知ろうとする。

部屋に戻ったネッドとコンセイユは、位置を知らせる手紙を瓶に詰めて、ノーチラス号が浮上した際に海面に投げ込む。

ニューギニア付近でノーチラス号は座礁してしまい、コンセイユは、アロナックスの代わりに上陸し、標本を採取したいことをネモに伝える。

逃げることを考えるネッドは付添うことを伝え、ネモの許可を得たネッドとコンセイユは、ボートで島に向かう。

二人は上陸して、食人族に注意しろとネモに言われていたネッドは、それを気にせずに、逃げることをコンセイユに伝え、再会を約束して別れを告げる。

奥地に向かったネッドは食人族に追われてしまい、ノーチラス号に戻ろうとしていたコンセイユと共にボートで逃げる。

艦内に戻ったネッドは、食人族の襲撃をネモに知らせる。

慌てる様子がないネモは、食人族が甲板からハッチに向かってきたため、船体に電流を流して驚かせて彼らを追い払う。

逃げる気だったネッドの考えを見抜いていたネモは、彼を拘束しようとするが、船が近づくことを知らされる。

それが軍艦であることを確認したネモは、ネッドを船底に閉じ込めるよう命じて出航させる。

砲撃を受けたノーチラス号は、損傷して沈み始める。

ネッドは、浸水した船底から何とか脱出する。

スクリューを動かすシャフトの回転が妨げられ、それを修理したネモは、ノーチラス号を前進させる。

巨大イカに襲われたネモは、電流で撃退しようとするが、回路が焼き切れてしまう。

浮上して戦うことにしたネモは、バラストを落すよう命ずる。

嵐の中、海面に浮上したネモは、乗員達と共に巨大イカに立ち向かうが、脚が体に巻きつく。

甲板に出たネッドは銛を放ち巨大イカに命中させ、海中に引きずり込まれたネモを救うために海に飛び込む。

ネッドに助けられたネモは艦内に戻り、なぜ助けたのかをネッドに問う。

いい質問だと言うネッドは、ヘマをしたと言って酔うために部屋に向かう。

ネッドが自分を助けたことを後悔していると言うネモに、素直になるべきだと忠告するアロナックスは、救われて感謝しているにも拘らず認めようとしないと伝える。

それを認めたら信念を曲げることになり、憎しみと復讐に捧げた人生を否定することが怖いのではないかとアロナックスから言われたネモは、話はそれほど単純ではないと反論する。

明日は真逆の行いをする可能性があるネッドの善行を否定し、永続的で建設的な考えが必要だと話すネモは、それほど完璧なものはないとアロナックスから言われる。

地上は不完全だがここにはあると言うネモは、人間や国家が善良ならば、全ての秘密を明かすとアロナックスに伝える。

そのために、ノーチラス号に現れた時から生かしたことをアロナックスに伝えたネモは、語り継ぐ者になってほしいと言いつつも悩む。

アロナックスを信用できないのではなく楽観的過ぎると言うネモは、国家が武器や収容所を手放すと思うかを問う。

自分が説得して見せると言うアロナックスは、間もなく到着するバルケニアで全ての秘密を明かすと、ネモから約束される。

そのエネルギーは、人類を救い幸福をもたらすと言うネモは、また破滅にも導くとアロナックスに伝える。

それを知れば慎重な考えに変るはずだとアロナックスに伝えたネモは、バルケニアに到着するものの、国籍不明の軍艦がいることを一等航海士から知らされる。

これが現実だと言うネモは、説得するどころか待ち伏せされたととアロナックスに伝える。

既に部隊が上陸していることを知ったネモは、先に基地に向かい破壊しようとする。

海底の通路を通り基地に到着したネモは、ボートでその場に向かう。

部隊が現れて攻撃を始めたため、味方だと言うネッドは、自分がボトルで知らせたことを伝える。

ネッドとコンセイユの行為を批判するアロナックスは、最善策だと思ったと言う二人に、世紀の大発明が破壊されてしまうことを知らせる。

ネモはノーチラス号に戻るものの銃弾を受けてしまい、潜水してその場を離れる。

一等航海士に支えられながら船室に向かったネモは、乗員やアロナックスらを前に、ノーチラス号の最後の潜水だと伝える。

乗員らは共に最期を迎える覚悟を決めるが、ネッドは納得できない。

数分後に史上最大の大爆発が起きるとネモから言われたアロナックスは、自分の成果が全て消え去ることを伝える。

ノーチラス号を深海に葬ると言うネモは、各自の部屋に向かうよう乗員に指示し、抵抗するネッドらを監禁するよう命ずる。

未来への夢が失われるとアロナックスから言われたネモは、自分の力より大きなものが破壊を望んでいると伝える。

世界が生まれ変わりより良くなった際に、自分の発明は生かされるという希望はあると、ネモはアロナックスに語る。

アロナックスとコンセイユは部屋に監禁されるが、ネッドは抵抗してノーチラス号を浮上させる。

一等航海士と格闘になり殴り倒したネッドは、アロナックスとコンセイユを部屋から出してボートで脱出しようとする。

日誌を取りに戻ろうとしたアロナックスを殴り気絶させたネッドは、彼を担いで外に出る。

ネモは、海中をが見える扉を開き息絶える。

ボート上で島の大爆発を見ながら、ネッドは、殴ったことをアロナックスに謝罪する。

これでよかったのかもしれないと言うアロナックスは、世界が生まれ変わりより良くなった際に、自分の発明は生かされると語ったネモの言葉を思い出しながら、沈んでいくノーチラス号を見つめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1868年。
太平洋で相次ぐ船舶沈没事故により、海の怪物が出現したという噂が流れる。
パリ国立博物館の海洋学者アロナックス教授は、アメリカ政府の依頼で”怪物”の正体を探る調査を依頼される。
助手のコンセイユや銛打ちの名手ネッド・ランドらと共に、ファラガット艦長の船”エイブラハム・リンカーン”で航海に出たアロナックスは、付近を航行中の船の爆発に遭遇する。
ある物体が近づき激突された船は損傷し、ネッドとアロナックス、コンセイユは海に落ちて漂流する。
目の前に現れた潜水艦の内部に入った三人は、それが、大発明家ネモ艦長が造った”ノーチラス号”であることを知る。
歓迎されたアロナックスは、深海の神秘に魅せられたネモの考えと発明の秘密を知ろうとするのだが・・・。
__________

ジュール・ヴェルヌの傑作SF小説”海底二万里”を基に、ウォルト・ディズニーが製作したSFアドベンチャー超大作。

当時の技術を駆使し特撮を生かした奇想天外な物語展開は、当時の人々にどれだけの驚きを与えたことかがうかがい知れる、素晴らしい作品に仕上がっている。

19世紀の科学技術を遥かに凌ぐ発想、ディズニー映画らしいユーモアを交えた場面展開、ダイナミック且つ繊細な人間描写も見所であるリチャード・フライシャーの演出が光るSF映画の傑作として非常に評価の高い作品。

当時としては破格の製作費500万ドルをかけた大作で、北米興行収入は約2800という大ヒットとなった。

”ノーチラス号”などのデザインセンスを含め、映像的に素晴らしい出来栄えの本作は、第27回アカデミー賞で、見事に美術(カラー)、特殊効果賞を受賞し、編集賞にノミネートされた。

主演のカーク・ダグラスは、陽気で自己中心的ないかにも海の男らしい銛打ちの名手”ネッド・ランド”を演じ、憎悪や復讐も絡む重苦しいテーマも含む内容にアクセントを加える役柄を熱演している。

その、カーク・ダグラスを凌ぐ存在として登場する”ネモ艦長”を演ずるジェームズ・メイソンの演技もまた注目で、独自の哲学で自分の考えを貫こうとする人物を好演している。

ネモ艦長の考えに理解を示す著名な海洋学者アロナックス教授のポール・ルーカス、その助手コンセイユのピーター・ローレの存在も見逃せない。

ノーチラスの一等航海士ロバート・J・ウィル、”エイブラハム・リンカーン”の艦長テッド・デ・コルシア、アメリカ政府の役人カールトン・ヤング、記者デイトン・ルーミス、エイブラハム・リンカーンの一等航海士テッド・クーパーなどが共演している。


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